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 話 題  

21頁 米粉・餡についてのシンポジウム    目次に戻る
平成15年2月21日E 幕張メッセ・国際会議場で開催され、多くの参加者が討議を熱心に聞いていた。


22頁 お菓子の需要活性化のために パネルディスカッション 目次に戻る

 
 東京都菓子工業組合(理事長松本俊男氏)は消費者啓発・需要拡大事業を活用し「お菓子の需要活性化のために」をテーマにパネルデスカッションを開催しました。先月号に引続き、本号では主に供給過剰の中で需要を拡大するよい方法を中心に掲載します。

 (物が余っている供給過剰の中で、お菓子全体を需要拡大するためにはどうすればよいか、という問いに対して)

吉田 手っ取り早い方法はマスメディアとタイアップする、利用させて頂くことでしょう。昔に比べたら菓子屋の地位が向上したのは、電波媒体のお陰だと思います。これまで料理番組はNHKしかありませんでしたが、最近は「料理の哲人」、「TVチャンピオン」、「チューボーですよ」。タレントが出てきて、料理を作る。あるタレントの料理本は百万部売れ、凄いマーケットを創造した。番組でおいしそうなものを作っていると、つい食べたくなります。この間は「西洋骨董洋菓子店」でラブコメディー風、青春ドラマっぽい。ですからお菓子の分野でも、バラエティが入ったり、ドラマ仕立てになったり、業界には追い風であるし、利用すべき材料だと思います。パティシェという言葉が市民権を得たことも凄いですし、今、青少年に将来に何になりたいかと言ったら製菓人は上位に入ると思います。この現実を直視して、利用すればまだまだ人材発掘、マーケットの創造ができます。

 マスメディアの活用といことですが、黒川さんの場合などで、マスメディアを仕事に活かすことは可能ですか。

黒川 流通、問屋主導で、企画や要求を言って頂き、近いものを提供するので、需要アップをしても、労を多くして功少ないというか、どうしても流通に携わる人はそうした考えがあります。また、我々が菓子学校に行っている頃は、菓子屋に関係ない方は何人もいない状態でした。現在では7〜8割が業界以外から勉強に来ているようで、確かに今は若い子がなりたい、需要があります。ただ、問題は勤めた時に、引き続き夢を持てるのか。独立も含めてしていけるのか。せっかく膨らんだ夢を、またしぼませてしまう現実があると菓子の需要低下につながります。朝から晩まで労働している割には給料が上がらない、結婚しても暮らせない。菓子屋で良かったと思える土壌が整ってないと大きな部分で需要が減退してしまう。頑張ったら見返りのある業界になっていくことが需要の喚起につながると思います。

 池田さん、いままでの話を聞いていかがですか。

池田 その前に供給過剰と言われショックです。でも、それだけの人たちが競争しているマーケットがあるわけです。私はピーナッツ業界です。ピーナッツはそのまま煎ってフライにしてバタピーにするしかありませんでした。このバタピーと煎餅と組み合わせることで新しい寿命が延びました。それからチョコレートの中に入れて、また伸びました。これだけ菓子の色々な業種の方が集まっているので、これから東菓工のネットワークは、ITではなく、人の交流から、これとこれを入れたらおもしろいという発想が生まれれば、と考えました。

 少々言い方は悪いかもしれませんが、鈴木さんのところは現在勝ち組ですね。そこで鈴木さんに伺いたいのですが、全体を見て、供給過剰の中で需要を拡大するテーマが与えられるとしたら、どのようなことが考えられますか。

鈴木 しばらく供給過剰は続いているし、業者数は減っています。ただ、業界の数字もアバウトなので、お菓子の需要が減っているとは思いません。例えば昔は三ちゃんの菓子屋で売られ、スーパーマーケット、コンビニが出た。喫茶店もケーキセットがあります。ホテルのパーティは、必ずケーキが出てきます。ケーキバイキングでも、よく食べられる。色々な場所で、消費されています。お菓子の食べるステージが変わってきているのではないでしょうか。以前は家族のために、お母さんが買って家で食べる。今は女性の就労率も高いから、家族で外食に行く機会も増えています。ファミリーレストランで食べることもあるでしょう。このように場所は変わりましたが、お菓子が減っているとは思えません、むしろいいのではないでしょうか。また、マスメディアで取り上げられたため、お菓子に対するイメージ、ステイタスが高まっています。ヨーロッパに行くと、ルイ・ヴィトン、シャネルなど名店の町並みの中に、堂々と菓子屋が軒を連ねている。こうした中お買い物の途中でちょっと召し上がるなど、もっとお菓子の食べられ方が色々ある。また、業界人それぞれが努力し、お菓子を素晴らしい物に高めていくと業界全体の需要につながってくる。デパ地下が取り上げられているのは、業界全体が努力をしたからではない。個々の店が個性を発揮し、だからこそ活性化しているんです。ですから菓子業界もどんどん、新しいお菓子を提案し、評価を得て、その結果、菓子業界全体の評価につながってくるようにしなければならないのではないでしょうか。

 需要拡大というテーマは大変難しい。一方個々の売上努力の話はいくらでもあって、個々の集積が需要拡大につながる考え方に成り立てば、まさしく個々が頑張ることが大事です。ただ、個々が頑張りきれない部分を業界全体がどうするかは大きなテーマとして存在します。色々なステージが増えてきたことは事実です。ただ、家に持って帰り家族や夫婦で食べるなどは、厳然として多くのシェアを持っている。それはコンビニで買おうが、菓子店であろうが、家で食べるための需要は相当のウェイトを占めています。華やかな部分に目を向けることが、必ずしも全体の需要拡大につながるとは言い切れない気がします。例えばキャンデーもお菓子の中では重要なウェイトを示しますが、喫茶店のスナックにはなりにくい。そういうことを業界全体を見た場合、需要はあまり減らないと思います。その中で当然個々は淘汰され、それぞれ吸収しながら伸びていく、勝ち組の話になってしまいます。そうでなく、菓子全体がもう少し底上げになるような方策がないでしょうか。

池田 何か組合でできないでしょうか。情報を流すだけではなく、今日来ている皆さんも、望んでいることもあると思います。

 逆に組合活動に期待することはありませんか。

吉田 マーケットやステージの創造で、例えばヨーロッパを見ると、この間までハロウィンはほとんどありませんでした。アメリカの10月31日のお祭りです。亡くなった人を弔う日の前夜祭で、本当はしめやかなですが、アメリカではハッピーなお祭りになり、冠りものをして歩くパーティになっています。ヨーロッパ人はしかめっ面をしてたけれど、最近はどこのショーウィンドウもハロウィンです。まさしく1つの需要が作られました。日本でもホワイトデーは、男性が義理を果たす日です。お返しの日は世界のどこにもなく、素晴らしい需要が掘り起こされたわけです。お菓子は社会のニーズに応える、要望を作り出すことに付随してできると思います。だから、掘り起こしはできるはずです。世界中にお祭りはたくさんあるし、お菓子は儀礼にも伴うものです。結婚式はウェディングケーキが最大のセレモニーであるし、土産には引き菓子がついてます。また、今は少子高齢化で、セレモニー産業が脚光を浴びています。お葬式には日本酒が出ますが、お菓子の入り込む余地もあるはずです。楽しみの部分、社会の儀礼の部分に業種の壁を越た、共通する課題はあると思います。

 短絡的に言うと菓子の日になりますが、何らかのモノ日をPRすることで菓子の需要を拡大していくという考え方はありますね。

(供給過剰の中、お菓子全体を需要拡大するためには、組合活動に期待することはないか、という問いに対して)
 

◎業界の自主規制を
鈴木 例えば景気が悪いから日本の経済はどうしたらいいという議論があります。需要拡大を図り、業界全体を持ち上げたいですが、個々の企業の努力なくして、経済が活性化できるでしょうか。組合の需要拡大では個々の企業の商売繁盛に、貢献できないと思うんです。
 また、するべきではないと思います。あくまでも個々が他力本願ではなく、自力本願で拡大していくべきでしょう。
 ただ、なぜ組合が必要なのかは、みんなが力を合わせなくてはできないことがあります。例えばチョコレート業界の、純粋なチョコレートはまる純チョコレートです。まる純は良いチョコレート、次に準ずるものはこれと規格を設けている。決め事がないと産地をメチャクチャにしたり、業界の自主規制がなくなり、お客様に不安を与えます。まして、分かった時のしっぺ返しは厳しい。例えば「北海道産牛乳」「北海道のバターを使っています」は決まり事がありません。北海道という名前を使っていいか悪いかもメチャクチャです。スーパーに行くと分かりますが、何でも北海道産とつければ、ある程度売れます。お店も扱ってくれる。こうした産地や日付の問題は業界できちんと規制していくべきだと思います。全体でなければできないことを組合が行い、商売繁盛は自分でという考えです。

 お話はごもっともでそれを言われると何もいうべきことがなくなってしまいます。しかし皆で何かができるという考え方は大切だと思うんです。
 例えば「甘味離れ」という言葉が大手を振って歩いています。菓子屋に甘いもの離れは大敵です。作っている皆さん自身が甘いもの離れと言うことも問題としてあります。白砂糖の量は昭和56年から減少していますが、異性加糖、ダイエット甘味料も飛躍的に伸びています。調整品として入ってくる砂糖は凄い量で、甘味料総計はむしろ伸びています。白砂糖だけ減少していることをマスコミは書くわけです。
 しかし、甘味量全体では現実には減っていない、むしろ増えている。また、糖尿病という名前が付いているから、砂糖が病気の原因だと思われるけれど、実はそうではないんだとか、そういうことを業界として積極的にPRすることは個々で成し得ないですね、しかし団体としてならできます。

池田 精糖工業会が甘味は必要と宣伝してました。菓子は人間に必要と組合上げて行ってもよいと思います。

 ◎菓子と平和の結びつき

 例えば「おやつ」のことを考えると江戸時代におやつは急速に膨らんでくるんです。おやつは八つ時に食べるという時刻から来た言葉です。九つ時に昼飯、七つ時に夕御飯。真ん中に八つ時に中間食としておやつを食べるようになりました。
 江戸時代の本を見ると、職人も神経を張って仕事をしなければならないから満腹は禁止でした。満腹ではろくな仕事ができない、腹八分目もそこから出ていますが、ある程度入るところは残しておかなければならない。だから、おやつという間食が必要でした。
 なぜ、急によくなったのかというと平和です。戦国時代は戦が横行してるから、おやつといっている暇はないので、腹が減ったら、何でも食べるわけです。平和になるとおやつに技巧を凝らしたり、甘いものもできてきます。ということは菓子は平和と強い結びつきを持っている。心の満足と結びついています。
 この心の満足を与えることについて菓子の考え方を業界でPRできれば効果を発揮するのではないかと思います。こうしたことの何かを業界全体でテーマを決めて取り組むことは可能だと思いますがいかがでしょうか。

鈴木 具体的にどうしたらいいかはありません。縁あって菓子業界に参加していますから、全体がよくなることは望ましいし、何かできれば素晴らしい。
 また、色々なお菓子を作っている皆さんがいます。各々の特性もあるし、チョコレート業界はバレンタイン、キャンデー業界はホワイトデーなど各々しています。組合全体では難しいので、各々の業界に合う行事を考えたい。
 ただ、東京だけでできるものではない。もっと全国組織が中心となってその上で各県が活動し、業界全体ですることが望ましいと思います。

 もちろん鈴木さんのおっしゃる個の努力が業界の需要拡大に結びつくことも大いにあるわけで、それはそれで何よりも大切なことでもあります。それも含め一言ずつまとめて下さい。

吉田 私はお菓子は文化だと思います。文化の担い手として、演じなければならないし、銭金の亡者になってもいけない。精神的貴族でなければならないと思います。
 これから入ってくる若い人の教育は、昔は「技術は盗め」としか教わらなかったような、とんでもない業界だと思いました。今はテクニックに秘密はない。色々な教科書に配合があるし、材料もまずいがないから、大抵はおいしくなるはずです。
 だから、プラスアルファとして文化の担い手を感じさせるよう、若い人を受け止めたい。それで業界の発展を次代につなげれば、決して真っ暗ではない。社会的ステイタスはみんなで努力しなければ持ち上がらない。東菓工が手を携えて我々のステイタスをレベルアップし、他産業にひけをとらない、新卒者が胸を張り入ってこれる業界にしていきたい。

池田 議題の今日で終わりにするのではなく、東菓工で需要拡大の会を作り、定期的に議論する。そうして議論することが様々なことの可能性につながるはずです。ぜひ、今日のことを契機として提案したいと思います。

鈴木 こういう機会を行ったことは意義があるし、もっと持って、みんなですれば役立つことはあるはず。情報は、自分で取りに行かなければならないと思う。会などに参加し、どれだけ生の情報を取れるか、活用できるかが大事です。ざっくばらんに話せる雰囲気やコミュニケーション作りが第一で、みんなと語り合えればいい。
 また、テレビで見ましたが「幸せって何」と聞かれ「おいしいお菓子を食べること」と言っていました。大変、良い業界なので、皆さん共々頑張りたい。

黒川 昔、潮干狩りに行くと、子どもはすぐに掘りたくなってしまう。その時に私は「待ちなさい、グルッと回って採れている人の側に行って」と言いました。運や元気も風邪と同じように移ります。元気の良い得意先、仕入先と付合い、元気な友人を多く持つことが自分の事業を守り、拡大につながると思います。

 ◎良い商品を作り続ける

 ありがとうございました。皆さんに参考となる話しをして頂きましたが、需要拡大についてまとめる必要があるので少しまとめてみたいと思います。
 今、パティシェという職業は人気がありますが、実はこれが日本の危険なところで、数年前は調理師ブームでした。アッという間に消え、その間、カリスマ美容師がありました。要するに日本人は一時の話題性を追いかけたり、ブームに乗る傾向を示していることが明らかです。
 消費者の行動がどう変化していくかを考えると、その時の人々の価値観で決まるわけですが「これでなければダメだ」という決定論より、情報で大きく左右されます。ところが、マスコミの情報は刹那的で脈絡が無いのは事実です。従って価値観が揺れ動くことは、当然なのですがそれがテレビと同化して、不確かなものとなり、考え方も漂流する。お客様のニーズも当然、漂流します。漂流しないものは何かといえば、自己の確立しかない。これは菓子に込められた哲学で示されます。「おいしさへの挑戦」や「お客様のために何をするのか」などと表現されるわけです。実はこのような一種の哲学やあるいは商品哲学に共鳴した人が多くいればいるほど、強い顧客化傾向を示し、強い需要を確立していることは歴史も現実も教えています。
 需要拡大の近道は、何もありません。あれば誰もがチャレンジしているわけです。その意味では半歩の歩みであっても、先ずお客様のことを考えていかに良い商品を作り続けるか。「召し上がって頂く方のために」という発想で、良い菓子作りをすることが最終的に需要拡大に結びつくと思います。
 合わせて、需要拡大へ皆で考え団結して対応することができれば当然、組合活動も活性化していくことと思います。またそれが個々の努力につながる循環になれば、良い菓子業界も生まれる気がします。皆さんで力を合せて頑張りましょうと結んで終了させて頂きます。


23頁 洋菓子特別技術セミナーを開催    目次に戻る 

 東京都菓子工業組合(理事長松本俊男氏)では1月20・21日、東京都洋菓子健康保険組合会館で洋菓子特別技術セミナーを開催、46名が参加した。
 講師には本年もMレビドールの寒川正史チーフを迎えて、昨今、新年のお菓子として注目されている「ガレットデロア」や栗を使った「クーロンヌオマロン」、杏の「パートドフリュイ」など5品目を学んだ。参加者には毎年、違ったお菓子を学べるため好評である。また、同セミナーは、同組合が東京都食品産業協議会の委託を受けて実施している「東京都食品流通等対策推進事業・人材養成確保事業」の一環として行われている。