視点

アベノミクスを全国津々浦々に浸透させ、デフレ脱却を!(平成26年12月)

 師走選挙が終わった。と言っても本稿を書いている時点では、選挙戦の真只中であり結果は出ていないが、安倍政権によるデフレからの脱却、景気回復の継続を願う立場から、マスコミ各社の世論調査に示されている通りに総理の施政が信任されたという前提で述べたい。そもそも今回の選挙については、大義がないとの批判も聞かれたが、安倍総理は、消費税再増税の延期とデフレ脱却のためのアベノミクス継続の是非について国民の判断を仰ぐとされて解散に踏み切られた。

 消費税の増税先送りについては、政府が開催した意見聴取においても反対論が強かったようである。社会保障改革の財源として必要不可欠であり、将来のために予定通り増税し、増税による消費の減退に対しては経済対策を措置することにより対応可能であるという主張であった。しかし、今年4月の3%増税時にも、5兆円の経済対策が措置されたにもかかわらず、増税後の消費の回復が遅れているという現実の前では説得力のある主張ではなかったように思う。

 また、経済条項があるにもかかわらず、増税を先送りすると法律の改正が必要になり、与党内を含めた政治的なコストが大きいとの主張もマスコミを賑わせた。その点から見れば、総理の解散判断は、国民の将来に大きな影響を与える課題について、永田町の議論だけに委ねるのではなく、17年4月の10%への引き上げの実施を含め国民の信を問うものであり、民主主義の本義に基づくものといえる。

 さらに、再増税の際には生活必需品への軽減税率導入を明確にされた。増税後の消費落ち込みを軽減するためには、消費税の持つ所得逆累進性の緩和が必要と判断されたものと思われる。リーマンショック後、EU諸国は我が国と比較すると消費税の引き上げを円滑に実施しているが、いずれの国も生活必需品に軽減税率等が導入されていることがこのような対応を可能としているのではないか。わが国の消費税も、将来的には更なる引き上げが必要になると思われるが、限られた時間の中で税率引き上げを円滑に行うためにも避けて通れない問題であろう。

 その際、気になるのは、与党で議論されているのが品目区分に偏りすぎているのではないかという点である。配慮すべきは担税力であり、例えば生活必需品とは言えない1個1万円も2万円もするマンゴーや、メロンが軽減税率の対象となり、乏しい収入の中で子供が楽しみにするお菓子(子供にとっては必需品)が嗜好品という分類だけで一般税率ということになると、わが国の将来を左右する最重要課題とされる少子化対策との整合性が欠けることになりはしないか。もっと所得、価格(担税力)への配慮が必要に思われる。

 アベノミクスについては、野党には批判の声が多かったようである。アベノミクスの効果により経済状況一般は好転したものの、政権担当1年余で消費税の3%引上げを行わざるを得なかったという不幸な巡りあわせもあり、その効果がすべての国民に実感されるまでには至っていない。菓子業界でも景気が良くなったという声は聞かれない。しかし、15年もの長きに亘りデフレ経済にあえいでいたものが、1年や2年でいきなり皆良くなるなどということを期待する方に無理があるのではなかろうか。

 私は団塊の世代に属するが、60年代から始まった高度成長やその後の景気変動にしても、地方や中小企業にまで及ぶのは玉突き的に相応の時間を要したと記憶している。今回の選挙により、消費税の引き上げまでには2年余の猶予が与えられたわけである。安倍総理には、デフレ脱却・安定成長のためのアベノミクスの更なる推進、少子化対策など、わが国の将来を切りひらくための重要課題に強いリーダーシップを発揮され国民の負託に応えていただきたい。

 全国菓子工業組合連合会専務理事・山本領