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長崎カステラ

長崎カステラ    泡立ち状態は加減でなく、重量で量る【長崎カステラ編】

 日本の四季にはそれぞれに風情がありこの風情を生かした和菓子があります、幼い思い出から大人になっても心のふるさととして息づいています。この和菓子を時代に即した商品に育てるため今一度、掘り下げて考えてみました。

 平安時代から室町、そして安土桃山時代と時代が進み海上を通路として他国の文化、宗教がインドシナ海域からフィリッピン海峡を通って日本の長崎に入国した。インドシナ・フィリッピン海峡は海賊が多く、いつしか南蛮海峡と名付けられた。この南蛮海峡を通って日本に入ったお菓子を南蛮菓子といい、南蛮菓子には鶏卵と豊富な白砂糖が使用されていた。また、安土桃山時代には菓子職人も長崎に入り異国のお菓子を作り始めた。お菓子の名前のない時代「長崎でカステリヤ地方の人が作ったお菓子」が献上品として大名に届けられ、(長崎カステラ)と呼ぶようになった。当時は日本にオーブンがなく、火鉢の上に鉄板の蓋をして、紙貼りの木枠をのせ、生地を流し再度鉄板をのせて焼いていた。別名オーブン焼菓子を「火蓋焼」といい昭和初期まで呼んでいた。

「サックリ混ぜる」が長崎カステラを難しくした

 長崎カステラの難しさは卵の泡立て加減と、小麦粉の混ぜ加減である。ゆっくり泡立てる場合、手早く泡立てる揚合、温かい場合、寒い場合と卵の泡立ちが違い浮き方も変わってくる。また、軽く浮かせたいので泡を消さないように「サックリ混ぜる」この言葉が長崎カステラを難しくしてしまった。長崎カステラの泡立ち状態は加減でなく、重量で量るとよい。二〇〇mlカップすり切り一杯一一〇gを基準にして加減をする。粉混ぜはむらなく、よく混ぜ合わせる事が大切である。

◎配合(八斤用)
卵(殻とも)… 2200g
上白糖………… 1900g
ハローテックス…500g
水…………………200g
薄力粉……………960g
焼枠本枠(外形)78×56×7.5㎝

初めて焼く方は工程が予定通り進みにくいので注意

①卵を割り込み、上白糖を加えて中速で混ぜ合わせる。

②ハローテックス、水を加えて泡立てる
*卵は冷蔵庫から出して速使用せず30℃位に温めて使用する。

③200mlカップすり切り一杯115gから、110gまで泡立てる。

④薄力粉を加えてよく混ぜ合わせる。

⑤砂糖ふるい位のフルイを通して10分位休ませる。

⑥上火200℃下火170℃オーブンに入れて焼く。
*初めて焼く方は工程が予定通り進みにくいので多少温度を高めにする。

⑦10分問で三回かき混ぜて生地の上、下の温度を調節する。

⑧10分位で表面の焼き色を整える。
*焼き色が薄いと下からの熱で表面が縮みやすい。

⑨中枠一枚と鉄板を一枚掛けで10分位そのままにする。

⑩本枠一杯に浮いているはずなので、鉄板を外し灰枠と鉄板二枚を掛けて20分焼く。

⑪中枠一杯に浮き、中央が盛り上がっているはずなので冷気を入れて窪ませ、10分焼く。
*オーブンの状態で五分焼き上がったり、15分掛かったりする。焼き上がりの合図は、灰枠を持ち上げた時中枠の一部がはがれ始めたら焼き縮み始まっており焼き上がっているはずです。

⑫鉄板を外して板などに木枠ごとのせてオーブンから取り出す。

⑬のり付けの紙に切り目を入れて、サラダオイルを塗った渋紙を掛けて裏返す。

⑭本枠を外し、底紙を剥いで卵の殻などの異物のないことを確認して、板の上に裏返す。

⑮木箱などに入れて、冷ます。

⑯冷めてから、包丁を焼酎(20度)で湿らして切る。

製品の保管は15℃位の低温保管がよい。

*製品の保管は15℃位の低温保管がよく、脱酸素や冷蔵庫は風味や味のためにはよくない。直接、手を触れなければ一週間位は日持ちするはずです。

*最近はサラッとした味が評判良く、水飴を使用せずハローテックスやテトラップを使用する。カステラの中の色も淡い黄味色がよく酸糖化水飴の重い黄味色、味共に評判が良くない。

*枠名「本枠」、「中枠」「灰枠」、「灰鉄板」

日本菓子専門学校 鎌田克幸 氏
和菓子講習より

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