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赤飯

赤飯コンビニに勝る赤飯が作れるのは、和菓子製造者だけ【赤飯編】

 日本の四季にはそれぞれに風情がありこの風情を生かした和菓子があります。この和菓子は幼い思い出から大人になっても心のふるさととして息づいています。和菓子を時代に即した商品に育てるため、今一度掘り下げて考えてみました。

 お祝い事のメイン、日本の食文化の中で避けては通れないのが赤飯である。家庭でもつくられ、製品の価値観もあまり認められない現状だが、これからの和菓子業界として将来に夢を託せる製品の一つといえる。都会では「無洗浄米」「おむすび」「ご飯」が販売され、家庭では三食料理を作らない傾向にあり、お祝い事の赤飯も都会の家庭で作ることは少なくなった。コンビニに勝る美味しい赤飯が作れるのは、和菓子製造者です。赤飯は朝生もので、安い糯米で手間を掛けずに作る傾向にあるがこれではコンビニに勝てない。原料の糯米を選び、ささげを指定して、塩ごまは手抜きをせず、美味しい製品を作り上げればお客様は必ず見直してくれるはず。赤飯の赤い色は魔よけ、呪術的な力があると信じられ悪霊を退治すると考えた。お祝いや、月の初め、季節の変わり目、新たなる出発、疫病退散、厄除けとして大いに活用すべき製品です。関東で使用されているささげは武士の世界が安定した江戸時代からで、それ以前は小豆でした。小豆の皮は薄く腹が切れやすく「切腹」を嫌った武士は皮の厚いささげを要望され今日に続いている。一部では小豆、大納言を使用しているところもあり、また、東北、北海道では金時甘納豆を使用している所もある。

長く蒸すと香りが薄れ、色焼けにも影響

 美味しい赤飯は糯米の保管で決まるといわれ、糯米は出来ることなら低温で保管し、精米して二~三日以内に使用するのが望ましい。水漬けは夏場、二時間冬場で五時間、銅鍋や木のたらいに漬け、ステンレスは合金で地中には存在せず、水漬けされた糯米の細胞が敵と判断して硬くなる傾向にある。セイロには網布巾を敷き、セイロの半分まで入れて蒸し時間は10分間から15分間。長く蒸すと糯米の香りが薄れ、色焼けにも影響する。しとり水はそれぞれの糯米の性質に合わせて、計量して与える。一般には水道水をホースで掛けて水切りして再度蒸しているがセイロ全体に均一に掛からない。しとり水は糯米1㎏に三五〇gから四〇〇g。2度目蒸しは5分間から10分間以内の蒸し時間で、蒸し過ぎると糯米のくどさがでてまずい。腰のある糯米の赤飯は硬くなりにくく、また、まとまり(だんご状)にくい製品に上がる。

●配合
糯米………………… 1500g
しとり水……………約525g
(使用する糯米により増減)
食塩 …………………… 12g
ささげ…………………165g
重曹……………………… 5g

●工程

①糯米を水洗いして二~五時間さわりで漬ける。

②ささげは水洗いして、さわりまたは鉄鍋に二~三時間位漬ける。

③強火に掛けささげの皺が伸びたら、びっくり水を加えて再度加熱する。

④沸騰したら重曹を加えて、渋を取り手早くホイッパーでかき混ぜ荒熱を抜く。

⑤渋取りしたささげには冷水を加えて加熱する。八分道りまで煮込む。

⑥水漬けした糯米の水を切り、ささげの渋を加えて着色する。

⑦煮上げたささげを加えて混ぜ合わせ、網布巾を敷いたセイロに入れて十分間蒸す。

⑧大きめのボールにあけ、食塩と冷水を加えてヘラで混ぜ合わせる。

⑨再度網布巾を敷いたセイロに入れて五分間蒸す。

⑩寿司おけにあけ、箸で混ぜながら風を当てる。

⑪人肌位に冷ましてから小分けする。

・塩ごま
黒ごま ………………… 30g
食塩……………………… 8g
水 ……………………… 30g

●工程

①黒ごまを弱火でじっくり煎る。

②水と食塩を加えて煮込む。

③水分が少なくなったら、弱火にしてヘラでかき混ぜて乾かす。

④全体にパサついたら火を止めて、厚での紙に広げて冷ます。

⑤冷めてから小袋に詰めて赤飯に添える。

*ささげは多少多めであるが、渋色の関係で少なくても良い。

*糯米をステンレス製で水漬けすると、出来上がりの製品に弾力が出にくい。

*糯米の水漬け時に渋を加えても良いが多少濃い色になる。

*しとり水は蒸した糯米に掛けた方が混ぜやすい。

*蒸気は強めで短時間蒸す。

*網布巾は糯米に掛けずセイロの端にまとめ、蒸気が直接、糯米に掛かるようにする。

*大量を冷やす場合、てんじゅく木綿(90㎝幅)を硬く絞った上に、蒸したての赤飯をあげて風を当てて冷ます。

専修学校 日本菓子専門学校和菓子教師 鎌田克幸 氏
和菓子講習より

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