鳥取県菓子店

2014.02.15

「生姜せんべい」と「おいり」

伝統の銘菓

生姜せんべい 鳥取市の代表的なお菓子の一つに「生姜せんべい」がある。緩やかな波状は、砂丘の風紋を、そして、刷毛でさっと塗られた生姜砂糖は、砂丘にうっすらと降り積もった雪、あるいは日本海の白波に見立てている。

 かつて鹿野城主の亀井公が朱印船貿易により東南アジアから生姜を移入し、現在の鳥取市気高町で栽培を奨励した。今では、収穫した生姜は、防空壕を利用した貯蔵庫「しょうが穴」で半年以上も貯蔵。土の中で熟成させることで、生姜の美味しさをさらに引き出している。

 江戸時代から伝わるといわれる「生姜せんべい」は、この地で育まれた上質な生姜をぜいたくに使用している。

 いずみ屋製菓では、昭和23年の創業時より、「生姜せんべい」を焼き続けている。数種類の小麦粉をブレンドし、シャキッと焼き上げ、地元産の生姜で作った甘くて香り豊かな生姜蜜をたっぷりのせて仕上げている。

 老舗の宝月堂は「民芸の父」といわれる吉田璋也のプロデュースにより、昭和27年より生姜せんべいの製造をはじめ、手仕事による「民芸せんべい」の概念を守り続けている。

 城北たまだ屋が玉田やから昭和42年に分家して「生姜せんべい」の製造を担った。砂丘の撮影のたびに来店した写真家の植田正治は、城北たまだ屋のせんべいを亡くなる日の朝も食べていた。

おいり もう一つの鳥取の代表的なお菓子は「おいり」だ。製造過程で米を炒っているところから「おいり」と名付けられたようだ。

 もともとは干した飯を炒り、水飴を絡めて、手で握った形にしたお菓子。ひなあられと違って、水飴で固められ、着色されてない。

 昔は、残したご飯を使って各家庭で作っていた。家によってはかき餅を入れるなど、それぞれの家庭の独自の「おいり」が作られていた。

 大正12年創業のホテイ堂では炒った米、ポン菓子、米粉でつくった三種類の「おいり」を製造している。昭和52年創業の和楽ではポン菓子とピーナッツ入りの「おいり」を製造している。そして深澤製菓のポン菓子がある。

 鳥取県東部には旧暦3月3日にひな祭りを祝う習慣が残っているが、それに欠かせないお菓子が「おいり」。1月から4月まで販売される。

 鳥取県菓子工業組合・小谷寛