視点

消費税引き上げを目前にして(平成26年2月)

いよいよ消費税の引き上げが目前に迫ってきた。そもそも消費税は、少子高齢化が進む中で今後ますます増加すると見込まれる年金、高齢者医療費、介護費用、少子化対策費用などを賄うために社会保障改革と一体のものとして決定されたものである。これら費用を現役の世代だけで負担することは誰が考えても無理であり、昨年10月の安倍総理による4月からの消費増税実施決定後の世論調査で見ても、消費税の引き上げをやむを得ないとする人が過半数を占めている。つまり、国民はこの増税をやむを得ないものとして受け入れているということである。

一方消費税について、デフレの中で価格に転嫁するのは難しいという声が大手小売業界を中心に聴かれ、税が上がるのであればその分仕入れ価格をコストダウンにより引き下げるよう暗に要求されているとの話も聞く。

これら業界は、価格が上がることによる売上の減少を恐れているわけであるが、政府も試算しているように消費税の引き上げにより国民の消費に一時的にもせよ影響が出るのは避けられない。勿論、本当に生産性の向上により納入価格が下がるのは何ら問題にすることではない。

しかし、自社の売り上げが減少するのを恐れるあまり、そのしわ寄せを立場の弱い納入業者に押し付けることは、あまりにも利己的な行為というべきではないか。しわ寄せにより自社の売り上げは維持できたとしても、仮に納入業者の側でコストカットのために従業員の賃金引下げ等がおこなわれるとすると、折角緒についた長いデフレからの脱却という希望にも水を差すことになりはしないか。デフレ脱却のためには個の利益の追求だけでなく、全体の利益の視点も必要ではないか。自由主義経済の中における競争原理のみ主張されるのではなく、大局観に立った判断をぜひお願いしたい。

このような中で、この消費税について、スムーズに消費者価格に転嫁するために様々な業界で、価格表示カルテル、転嫁カルテルが結ばれ、公正取引委員会に届け出て発足している。菓子業界においても、全日本菓子協会の取りまとめにより、流通菓子メーカーを対象として流通菓子消費税転嫁促進協議会が同様のカルテルの協定に向けて準備を進めていたところであるが、先月27日に公正取引委員会に届け出され、正式に発足した。参加企業は全体で266社、うち全菓連傘下の組合員が165社と約3分の2を占めている。参加された企業の方々には、税金を最終的な納税義務者に納めていただくための当然のことを行うというカルテルの趣旨を踏まえ、粛々と対応していただきたいと思う。

また、消費税の転嫁を円滑にするために、税別であることを明確にすれば、これまでの総額方式以外の価格表示も認められているが、特に製造販売業者の方々にあっては、これまでご愛顧いただいているお客様は、たとえ総額方式であっても変更後の価格が消費税をきちんと反映したものであるか否かは容易にご理解いただけるものと思う。消費税は、国民全体の社会保障のために国民全体で負担するものであり、国民の義務としてきちんと上乗せし、お買い求めいただきたいものである。

なお、政府には、税の徴収はそもそも政府の役割であるにもかかわらず、それを民間業者に任せ、納税上の負担を掛けるだけでなく、これら業者の経営状況を悪化させるような事態が生じるとすれば、本末転倒というべきではないか。消費税の転嫁を巡りいわゆる弱い者いじめなど決して見逃さないようにしていただきたい。

加えて消費税の引き上げがデフレ脱却の妨げとなる事の無いよう、5兆5千億円の補正予算の速やかな執行に全力を挙げるとともに、経済情勢を注視しながら万全の対応をお願いしたい。

 全菓連専務理事・山本領