各地の菓子店探訪,広島県菓子店

2013.11.19

御菓子司 勉強堂

一から職人を育てる

勉強堂 川口 暢適庵 今回訪れたのは広島県の中核市、福山市です。福山市は古くから交通の便もよく、繊維産業、重工業などが盛んで瀬戸内海の臨海工業都市として知られています。

 その大都市福山の閑静な住宅街に店舗をかまえているのが、勉強堂川口暢適庵です。店内はとても広くたくさんのお菓子がレイアウトされていて、どれを買おうかと選ぶのが楽しくなるような雰囲気です。喫茶も併設しており地元の方々の憩いの場となっております。

 今回お話を伺ったのは主人門田治己氏です。勉強堂は創業昭和4年、治己氏で3代目になります。治己氏は東京で菓子の勉強をし、大阪で修業を積んだ後、地元福山に帰ってきました。店を任された治己氏は今までのデパートとかへの出店を考え直し、地域密着型の店舗販売のみに切り換えていったそうです。地元のお客様に愛されてこその菓子屋だということでしょう。今では福山市内に6店舗も構え、店の盛況が伺えます。

 また同じお菓子屋として驚いたことなのですが、勉強堂で働く職人の方々は菓子作りに携わったことのない方が多いともお聞きしました。お菓子に興味、関心がある方を一から育てて職人にしようとする考えだそうです。これはなかなかできることではありません。職人として育てる楽しさ、自信があるからだと思います。そしてお菓子作りとは違う分野を学んできた方々だからこそ、おもしろい発想のお菓子ができることもあるとおっしゃっていました。勉強堂では、毎年お客様から夢のお菓子「和菓子に願いを」のアイデアを募集しています。その選ばれたアイデアを実際のお菓子にするのが若手の職人の仕事だそうです。これは職人としてたいへん貴重な経験になると思います。苦労して作った作品をお客様にみてもらい、その喜ぶ顔を見ることで菓子作り職人にとっての喜びを感じてもらいたいのだとも思いました。

むぎっこ栗っ子 その職人の方々の作る勉強堂の商品の一つ「むぎっこ栗っ子」を紹介したいと思います。大麦からできる麦こがし(はったい粉)を使った生地でしっとりとしたこしあんと甘露煮の上品な味の栗を一粒包みこんだ焼き菓子です。口にいれた瞬間、麦の香ばしさが広がりました。とても懐かしい感じのするお菓子で、私はコーヒーと一緒にいただきましたが、たいへんおいしく飽きのこない味わいに仕上がっています。たくさんある商品の中で勉強堂の一番の人気商品だそうです。

 最後に治己氏はこれからも例えば映画監督のように一つの作品(商品)の脚本から演出まですべてを考えていき、いつまでもいいお菓子、おいしいお菓子を作り、屋号のように日々精進する菓子屋であり続けたいと話しておりました。いきいきと楽しそうにお菓子の話をする治己氏は、スタッフを一人の職人を育てるのではなく、一人の大きな人間として育てていこうとしているのだなと思いました。私には持っていないとても大きな器を治己氏に感じてしまいましたが、とてもいい刺激を受けた取材でもありました。

 中・四国ブロック長・高橋宏暢

店舗データ

御菓子所 勉強堂 川口 暢適庵
広島県福山市川口町4-12-22
Tel&Fax…084-971-7725
営業時間… 9:00~19:30
喫  茶…11:00~19:00