視点

伊勢神宮式年遷宮(平成25年11月)

外宮遷御の儀に特別奉拝席にお招きを受けて

 二十年に一度という畏きあたりのお定めにより、本年度の伊勢神宮式年遷宮遷御の儀がこの十月二日皇大神宮並びに十月五日豊受大神宮において御斎行の運びとなり、この度小職伊勢神宮式年遷宮奉賛会大阪府本部副本部長のゆえをもって十月五日午後八時豊受大神宮遷御の儀に特別奉拝席にご案内をうけた。

 ご案内によれば十四時火除橋前テントで受付開始。各自で手水終了後、係員の誘導により所定の奉拝席へ参入。十六時三十分受付終了。十七時奉拝席参入締切。祭儀は十七時四十分頃から始まり、十八時遷御の儀奉拝。二十時出御。二十時四十分頃入御、奉拝者一同拝礼の後、係員の誘導に従って奉拝席より退出となっており、当日は午後一時より一般参拝停止。「特別奉拝証」を提示し、徽章をうけ、記念品は別送。服装は男性は略礼服、夜間は相当な冷え込みが予想されるので防寒に注意。忌中の方は特別奉拝が出来ない。宮域内へカメラの持込み撮影は固くお断り、手荷物の持込みも控えて下さい。夜間長時間のご参列になり、祭儀中は席を立つ事が出来ないので飲物には特にお心得おき下さい。又静粛に特に渡御の際には不敬に亘らないよう携帯電話はマナーモードではなく、電源を切ること。雨天の場合は奉拝席では雨傘の使用禁止。レインコートをご用意ください。簡易な雨具は当日配布する等きめこまやかに説明されていた。

 私は十四時五分大阪難波発賢島行特急で十五時五十五分伊勢市着の電車で出発した。定刻伊勢市駅に着き、火除橋前までタクシーで後は徒歩で火除橋を渡り、特別奉拝者受付の赤色の受付で一一八六六特別奉拝者岡本楢雄祭場席番号赤七の豊受大神宮遷御の儀の封筒とビニール製のレインコート・使い捨てカイロを受取り、第一鳥居より参道を進んだ。第二鳥居を過ぎていよいよ御正殿に近づく。特別奉拝者席は御正殿の手前端から新御正殿の奥の端まで一〇〇米位あるだろうか。その前に床には土の上に木の板をはりめぐらし、その上に折畳み椅子が並ぶ。その数三六〇〇席だそうだ。即ち奉拝席からみて右側がこれまでの御正殿、左側が新しく遷られる新正殿である。

 私の席は丁度新正殿の真前の前から四列目だった。着席をしたら既に本遷宮に関する色々な説明がされていた。奉拝席からは御正殿は全く見えない。見えるのは御正殿の御垣のみである。この御垣は桧造りの塀で右側の御正殿の御垣は二十年の風雪に耐えたのか黒ずんでいてその歴史を物語っているようだ。左側の新御正殿の方は真新しい木の香がある同じ桧の垣で新旧の間は約一メートル位の空間があった。

 午後六時第三鼓(太鼓を三回たたく)を合図に外宮斎館前庭より勅使の列次に祭主・大宮司・小宮司以下百数十人の列が松明の明かりに照らされて参進。第二鳥居で勅使の列と祭主・大宮司・小宮司の列が参道の両側に相対して対揖、勅使の修袚の儀が行われて、玉串行事所に向かい、御垣内参入に先立って勅使・勅使随員・祭主・大宮司・小宮司・禰宜が夫々両手に太玉串を執って正宮御垣内に中重の石壺に著版、太玉串を収める行事が行われ、勅使・祭主・大宮司・小宮司以下諸員が中重の版を起ち内院に参入、勅使が御祭文を奏す。大宮司・小宮司によって御正殿の御扉が開かれ、祭主以下殿内に候し、正殿新殿の殿内を整え正殿前では奉仕の順番に名前が告げられ次第に渡御の列次が整えられる。所役の宮掌が瑞垣御門で鶏鳴三声(カケロー、カケロー、カケロー)を奉仕し、正八時勅使神前に進み謹しみて出御を奏請せられるがここまでは何も見ることも聞くことの出来ない世界であった。

 これより神儀は静々と御正殿を出御あらせられ、絹垣の内に入らせられて御道敷の白布の上を新殿へとお渡りになる。御列が進ませられるに従って庭燎はすべて打ち消され、浄闇の中、楽長、楽師による道楽の調べの中、前陣・後陣と威儀を正し厳かに新宮へと向かわれ、神儀静々と新殿に入御、前陣・後陣の御装束神宝が次第に殿内に奉納せられ、全てが整い、大宮司、小宮司が御扉を閉じられて、勅使が御祭文を奏せられて、我々特別奉拝者は一同二礼二拍手一礼で参拝して退出した。時に八時四十分であった。

 古式にのっとった儀式、これが日本文化の一つであろう。三時間にならんとする式年遷宮遷御の儀は二十一世紀の日本の式典としては長いと、思う者もいるかも知れない。次の二十年後、また百年後にはどう変化するだろうか。それとも不変であろうか。

 リニアモーターカーの出現とともに日本文化はどうなるだろうか。気になるとともに、楽しみでもある。

 全菓連理事長・岡本楢雄