福島県菓子店

2013.09.15

福島県二本松市 玉嶋屋

「江戸時代から変わらぬ逸品」

薪で煉り上げる羊羹 『智恵子抄』に詠われた安達太良山と阿武隈川で知られる福島県二本松市。毎年10月の菊人形展には、多くの観光客が訪れる。本年はNHK大河ドラマ「八重の桜」で一躍脚光を浴びた歴史と文化が薫る城下町である。

 名物二本松羊羹として名高い「玉嶋屋」は、江戸期創業。現在まで一子相伝の味を受け継いでいる菓子処である。八代目当主であり、二本松支部青年部長の和田雅孝さんにお話を伺った。玉嶋屋の羊羹は江戸期の創業より配合は変わっておらず、二本松の伝統の味を職人技で受け継いでいる。羊羹の煉り行程は、今も楢の木の薪を利用し、早朝より仕込みを行っている。「薪を使っているんでね、火加減が大変。ガスのように火力の調整が出来ないんで、永年やっても正直難しい」と、和田さんは親しみのある笑顔で語る。

 そんな玉嶋屋にも大きな転機が訪れた。「東日本大震災」である。当初は大丈夫だろうと楽観していたが、日増しに福島第一原発の放射能被害が深刻さを増す。当然、仕込みの燃料となる「薪」も放射能の問題で供給が難しくなって、途方に暮れる毎日を送った。そんな中、地元の林業の人から教えてもらった材木に目が行った。「使えるんじゃないか」。地元の岩瀬牧場から表面の樹皮を剝いた状態で薪を提供して貰い放射能検査に出した。幸い放射能の数値も問題無く、従来通りの製法で仕込みを再開することが出来た。「江戸時代から続く味だ、諦める訳にはいかない」和田さんは心の中でつぶやいた。震災や放射能の風評被害で落ち込んだ売り上げも、全国からの支援のおかげで何とか回復して来た。今年は広島菓子博、更にはNHK大河ドラマ「八重の桜」で弾みが付き、売り上げも回復の兆しが見えている。

 頑固一徹、羊羹職人の和田さんも息子さんの事となると目尻を下げる。「長男が来春大学卒業後、東京製菓学校に進学するんですよ」。将来、九代目となる息子さんに、老舗玉嶋屋の技を受け継ぎ、「二本松藩御用菓子」の味を守って欲しいと願っている。

 東北・北海道ブロック長・小沢仁

店舗データ

登録文化財になっている玉嶋屋株式会社 玉嶋屋
〒964-0917
福島県二本松市本町1丁目88
電話番号:0243-23-2121
代 表 者:代表取締役 和田 雅孝
創  業:江戸期創業
営業時間:7時30分~18時50分
休 業 日:無休