佐賀県レポート

2013.06.15

「ひしぼうろ」

産学官で生み出した神埼市の新・銘菓

 佐賀県神埼市の特産品「菱」と佐賀の銘菓「丸ぼうろ」。地元ではありふれたこの二つが、地域の産学官の協力により一つになり、「ひしぼうろ」という新たな神埼銘菓が誕生しました。

ひしぼうろ 「ひし形」という言葉の由来でもある植物「菱」は池や水路に自生する一年草の水草で日本では全国で見る事が出来ます。ひし形と言うよりも三日月形に近い実を塩ゆでし、皮をむいた物は栗に似た食感と甘さで、九州でも定番の食べ物として愛されてきました。吉野ヶ里遺跡や良質なそうめんでご存じの方も多い、佐賀県神埼市でも菱は昔から多く収穫されており、地元で採れた菱の実を使った焼酎が人気を博しています。しかしその製造過程で菱の皮の部分が大量に破棄されており、これを何とか利用出来ないかと考えたのが、神埼市の西九州大学健康栄養学科、安田みどり教授でした。実は安田教授の研究の結果、菱の皮には様々な生活習慣病を予防する効果があるとされる成分「ポリフェノール」や他にも多種類の栄養素が豊富に含まれていたのです。(機能性・共同特許出願中)そこでこの余った「菱の皮」を利用した新たな特産品を作り地域貢献をしたいという西九州大学の提案に神埼市と、神埼市菓子組合が協力する形でプロジェクトがスタートしました。

 「ひしぼうろ」が完成するまでは試行錯誤の連続でした。生地の配合が最も難しく、練りこんだ菱の皮が水分を吸う為、焼き上げて一日で乾燥してしまい最初は全く商品になりませんでした。多くの人に好まれる商品にする為、一般の方や西九州大学生による官能検査を繰り返し、集めた評価に基づき、固すぎず柔らかすぎず、口当たりの良い食感を目指し、菱の皮の分量を変えてみたり餅粉を混ぜ込んだりと、200回以上の試作を繰り返し、プロジェクトが立ち上がってから約1年後の昨年十一月、関係者全員の努力の末ようやく納得できる物が完成致しました。モチモチとした心地よい食感と、菱の風味を感じさせ、ポリフェノールが甘さを抑えた絶妙な味、焼き上げた形も菱の実をかたどり、イメージキャラクター「ヒッシー君」が汗をかきヒッシに頑張る姿が可愛らしいパッケージデザインも完成して「ひしぼうろ」は販売となりました。

 『県外にも出せる商品を』という思いのもと神埼市の「産学官」が力を合わせて作ったこの「ひしぼうろ」は発売から約7ヶ月、順調に販売数が伸びており、関係者の努力が報われほっとする思いの中、今後も菓子産業を通じた地域貢献に取り組んでいきたいと考えております。

 佐賀県菓子工業組合理事・大串久昭