各地の菓子店探訪
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羽島名物「みそぎ団子」

兎月園(羽島市竹鼻町) 廣瀬八久

みそぎ団子 私の店は、竹鼻商店街(羽島市)の本通りを少し横に入った所にあります。

 竹鼻町を中心に、夏になると〈みそぎ団子〉という素朴な団子があること、ご存じでしょうか?夏の風物詩として、近年多くの人に親しまれ、市内の小中学校でも、十数年前からこの時期になると給食のメニューの中に入るほどです。又、小学校では〈みそぎ団子〉の由来について宿題が出て、私どもに聞きに来る子供たちもいます。

 この〈みそぎ団子〉なる物、少しご紹介させていただきます。まずは米粉の団子生地でこし餡を包み、それを2個串にさし、赤味噌と砂糖で作ったたれを、焼いた団子の両面に田楽風に塗り、ゴマをふりかけ、それをまた焼いたシンプルなものでございます。見た目はあまり良くありませんが、味噌を焦がした香ばしさがなんともいえないこの団子の味は、一度好きになった人は、やみつきになるそうです。

昭和初期の頃 ところで、この団子がいつからあるのかという話は、はっきりとは分かりませんが、人によっては、戦前からあるとも言われています。昭和初期の頃、初代(豊吉)が「みたらし団子を発展させて、おいしいものができないか?」と考え、工夫をしました。そして、みたらし団子の中に餡をいれて味噌をぬり、焼いたところ、意外と味噌と餡との相性が良く、これはいけると〈みそつけだんご〉という名で商いをしていました。

 時が経ち、私の先代(二代目栄一)は、竹鼻町の氏子様八剣神社の神主に、みそぎ神事(現在6月30日)の由来を聞き、それと味噌をつけた団子をくっつけて〈みそぎ団子〉と名前を付け、6月30日にみそぎ神事をうけて、この団子を食べると1年の前半のみそぎを払い、残り半年は元気で過ごせる」ということを書いた掛紙を作り、長年6月30日、7月1日、7月15日、に限り販売していました。

 近年、市の観光協会は、羽島の夏の風物詩として、又、マスコミには珍しい団子として取り上げられ、市外、県外からも団子を買いに来るお客様が多くなり、私どもでは、6月に入るとこの団子を販売するようになりました。今では、夏の大事な看板商品でございます。

 「土用の丑の日に、うなぎを食べると、夏バテしない」と、言われているように「6月30日に、《みそぎ団子》を食べると、夏バテしない」と、言い伝えられるように、この団子を大事にしていくことが大切であると、今更ながらのこの想いで、文を書いてみました。

 初代豊吉ファミリー 妻・美奈子

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