高知県菓子店

2013.02.15

天神橋通商店街 新月菓子舗

味のある和菓子店

美惇最中 高知市内の中心商店街の一つに天神橋通商店街があり、その通りに小さいながらも名の通った和菓子店がございます。今回は、その二代続く小売専門のお店「新月菓子舗」をお訪ねいたしました。社長であります西村祥一さんは高知県菓子工業組合の会計理事を永年務めていて現在も組合の幹部として活躍されております。

 創業は昭和27年。東京へ修行に行った初代井上欣二氏が、一坪くらいのお店で小売のかたわらおまんじゅう等の生菓子を〝ばんじゅう”に入れて自転車に積み売り歩いていたそうです…と、その当時の苦労話を二代目の奥様から聞かせていただきました。戦後の食料難の時代の開業は大変だったことが思い浮かばれます。
二代目(現社長)は西村菓子店の息子さんで、御菓子司「新月」へ菓子修行のため昭和46年に入社して菓子修行に励んでおりましたが、昭和54年、初代井上氏が誠実さと菓子づくりへの取り組む姿勢を見込んで井上氏の長女を嫁がせ、「新月」の屋号を譲り渡して二代目社長に育てたとのことです。

新月菓子舗 二代目社長は、先代からの技術を受け継いで上生菓子を得意とし、お茶菓子用にと茶道の方々から喜ばれております。材料も厳選したものを使い〝餡”においては北海小豆の皮を剥いた〝皮ムキあん”を使用するこだわりをみせています。
最近は、進物用(贈答用)にと手土産になる品も作っているようで、焼菓子〝翁”や〝美惇最中”など積極的に販売し大変好評を得ているようです。新作〝美惇最中”は、社長が言うところ、すぐ前に自由民権運動の〝板垣退助先生”の生家跡があり、その板垣先生が愛用したトランク(ヴィトン)が一般公開された事にちなんで、最中〝美惇”を制作したとのお話です。

 また、社長は陶芸の趣味を持ち、20年位〝菓子の器”などご自分で製作しており、なかなか玄人はだしの味のある〝器”を作っているとお聞きしました。

 今年は還暦を迎える年になり、現在は5年前に息子さんである西村大輔さんが菓子の修行から帰ってきてご一緒に菓子製造をしており、三代目を継ぐべく修行に励んでおります。

 菓子工業組合も組合員の減少の理由の一つとして後継者不足による廃業が挙げられる昨今ですが、今回訪問させていただいた「新月菓子舗」は三代目が着実に育っていて、活気がある店舗に感じ、益々発展していくものと思われます。

 高知県菓子工業組合事務局長・森下広和