滋賀県菓子店

2013.01.15

甲賀市甲賀町 瀬古製菓舗

薪でのあずき炊きを継承するお店

薪でのあずき炊き 滋賀県甲賀市甲賀町にある瀬古製菓舗さんは、私が知る限り滋賀県で唯一、薪であずきを炊いている店である。3代目瀬古信博さんは30才で家業を継ぎ十数年、地元の文化、風習を守っていきたいという強い思いから、採算度外視でもいい、自分の子供の世代、孫の世代になってそういった文化、風習、お店がなくなってしまわないように伝承していけるようにという思いで日々精進されている。

 瀬古製菓舗さんでは、おいねもち、四十九のもち、葬式もち、神社用らくがん、冠婚葬祭の注文など、地元の文化が色濃く出た注文が多い。過疎化が進み徐々にそういった風習的なものが失われ気味の今日、地元の人たちも瀬古さんの思いに応えようと頻繁に注文をしてくださるとのこと。

 初代から続けている薪でのあずき炊きも変わらぬまま継承されています。

 薪で炊くあずきはふくらみが良くなり、皮の柔らかさが非常に優しい感じに炊きあがるということで、代表銘菓きんつばも昔ながらの材料、製法で非常にやさしく何個でも食べてしまいそうなほどです。丹波大納言を3時間かけて手べらでじっくり炊いたこのきんつば目当てに、遠方から買いに来られるお客さんも多いというのもうなずける。

 あずきを炊く薪は地元業者から買っているということで、ガスに比べ10分の1ほどのコストしかかからないというから驚きである。

 お話を聞いて和菓子の歴史の長さ、和菓子作りが文化、風習の伝承に関わっているということを深く再認識させられました。

 時代と共に形を変えたり、失われたりしている面もありますが、今の日本において大事にされるべき存在なのではないかという思いがわいてきます。仕事として日々黙々と和菓子作りをしていますが、瀬古さんのように文化、風習の伝承役としての自覚を持って仕事をすべきかもしれないと思わされました。こういう和菓子屋さんが一軒でも多く、長くこの国に残ってくれれば次の世代にとってもいいのになぁと思う今日この頃です。

 滋賀県菓子工業組合青年部長・嶌幹夫