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青森県菓子工業組合西支部の現状

木造、鯵ヶ沢、深浦地区

 我が青森県は三方を海に囲まれ、又、十和田国立公園、世界遺産白神山地を持つ、風光明媚な自然に囲まれた豊かな土地です。

 昭和24年、工業組合法が制定され、我が青森県でもこの法律に従って、組合の再編成をしました。その結果、東青支部、中弘支部、南黒支部、西支部、八戸支部、上十三支部、むつ下北支部の7支部で結成されています。私は、西支部長として、現状を報告させていただきます。

 当支部は、昭和24年に青森県西郡菓子工業組合として発足し、3町47店舗と15村73店舗からなる合計120店舗で構成されていました。当時の組合員は各々が、せんべい、アメ玉、おこし、カリントウ、饅頭など専門性を持っていたものでした。又、祭や宵宮等がありますと、組合以外の沢山の同業者が活動し、この地域の菓子業界は大変賑やかでした。ただ、現在では、組合加盟数が11店舗となり、非常にさびしい限りと言えます。

 ~西郡菓子工業組合支部の現状~

 現在の当支部は、大きく分けて木造(きづくり)、鯵ヶ沢(あじがさわ)、深浦(ふかうら)の3地区に分ける事ができます。

 木造地区は早くから農業が主であり、米の産地として開けた所です。故に「落雁」「運ぺい」「おこし」などの米を使ったお菓子が早くから作られていました。それ以外では、「ショウガトウ」が有名ですが、この来歴はよく分かってはおりません。歴史的にみて、十三湖に北前船が入港した時に持ち運んできたものなのかも知れません。一方、最近は土偶が発掘されているので、これにちなんだ色々なお菓子が作られており、町の観光や経済に大きく寄与しています。さらにこの地は「メロン」「スイカ」の一大産地として知られており、これらにちなんだお菓子の開発も盛んに行われております。

 鯵ヶ沢地区は、海、山、川があり、自然に恵まれているところです。かつては、津軽藩の御用港として北前船の出入りの多い港でもあったところです。上方の文化も沢山入ってきており、「なにわせんべい」は、その一例と言えましょう。これは砂糖が非常に高価な時から鯵ヶ沢で作り続けられており、津軽の殿様に献上しされたという記録も残っております。「鯨餅」もまた古いお菓子です。これらのお菓子は北前船が運んで来たものと思われます。近年では、名産である金鮎にちなんだお菓子もあります。また、世界自然遺産に登録されてからは、白神山地の名前のついたお菓子が非常に多く開発されています。

 深浦地区は、漁業を主体としながらも、北前船の風待ち港として知られたところです。船旅の安全を願掛けした船絵馬が有名な円覚寺というお寺があり、昭和の初期頃にはこの近所に『観音餅』というお菓子があったそうです。しかし、その後、製法が途絶えてただ看板だけが残っておりました。近年、この看板を頼りに、嗜好(試行)錯誤して復元されたものが現在販売されています。昔ながらの材料で作られていますので、非常に淡白な餅菓子です。これが現在の深浦の代表的なお菓子となっております。

 青森県菓子工業組合常務理事・山崎敏博

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