福岡県菓子店

2012.03.15

博多笑顔のお菓子

にわかせんぺい本舗東雲堂

二○加煎餅 九州の玄関口にあたる福岡県にある、にわかせんぺい本舗 株式会社東雲堂を今回は訪れた。専務取締役の高木雄三氏とは九州ブロック菓業青年会で顔をあわせる機会はあったものの、同じ菓子(お煎餅)を作る者としてゆっくり話をうかがえるいいきっかけだとおもい、うかがった。

 福岡市博多区吉塚、古くからの住宅街と官庁街の両面を持つこの町に、東雲堂はある。工場に入ると、まずどこか懐かしいほのかに甘い香りに包まれている。

 二○加煎餅は、鋳型焼上機によって焼き上げられるが、天候湿度に左右されるため、熟練の職人によって一枚一枚丹念にやきあげられていた。

 さて、にわかの語源をみなさんはご存知だろうか?江戸時代から明治時代にかけて、宴席や路上などで行われた即興の芝居。仁輪加、仁和歌、二和加などとも書かれ、路上で突然始まり注目を集めたため「にわかに始る」と言う意味からにわかと呼ばれるようになったとされる。博多仁和歌の起源は、約300年前の寛永年間。博多の物好き連中がお盆の夜に集まり、提灯の両縁を取ったものを頭からかぶり、軽口や謎の問題をしかけ、人々を笑わせる。それがいつしか「仁和加」というようになったという。

 東雲堂の初代は、この地方色に富んだ「博多仁和加」の半面を意匠にした「二○加煎餅」を明治39年に発売した。古くから、福岡土産の銘菓として名高い「二○加煎餅」は九州の方のみならず、その菓子のユニークさから、福岡土産として目にされたかたも多いであろう。

 今も昔も教育上、「食べ物で遊んではいけません」といわれることも多いと思うのだが、このお菓子は、そんな言葉を忘れさせる。

 丁度、顔の目の部分を覆うような形の半面形。

 そして最大の特徴は、ユニークなたれ目が描かれていることだ。この菓子を初めて手にした者は誰しも顔に当ててみたくなる。そして思わずにっこりしてしまうのだ。原材料も県産小麦粉、厳選された砂糖、卵を使用し、口に運ぶと更ににっこりしてしまう。やさしい甘さのお菓子である。

 現在6代目に向け修行中の高木氏は4代目である父が急逝したため、平成10年サラリーマンを辞め、母を助けるべく、家業を継ぐ決心をしたそうだ。それまでの自分には全く知識がなく、入社当時、キャリアの長い職人さん達の感覚を理解するのに時間がかかり、相当な戸惑いを感じたという。現在、福岡県菓業青年会会長をしている彼、入社当時オブザーバーとして会に参加したのがきっかけで、飲んだ勢いで会に入会したという思い出話を笑い話のように語ってくれた。

 彼は、生粋の博多っ子。博多祇園山笠(国の重要無形民俗文化財)に毎年参加している祭りが大好きな山のぼせ。肩には山を担いでできた硬く大きな担ぎこぶができている。山笠は各自治組織によって運営され、年齢階梯制で、規律が厳しく長幼の序を重んじる組織である。山笠経験をつんで認められると、一人前になった証として赤手拭(あかてのごい)を渡される。これは昔の婿の条件のひとつだったそうだ。古きよき時代と伝統を守り貫く姿勢は、実は子どものころから培われたものがあったのかもしれない。     

 昔ながらの製法にこだわり、伝統を守り、生業を守り続けつつ、もっと全国の人に二○加煎餅を知ってもらいたいという彼の気持ちは、新しい商品アイデアにもつながっており、現在にわか煎餅には数枚に一枚の割合でウインクした煎餅が入っている。この煎餅に、出逢えたあなたはきっと、何かいいことが起こるでしょう!九州博多にお越しの際は、笑顔になれるお菓子二○加煎餅を是非ご賞味されてはいかがでしょうか。

編集後記
 2月20日・21日今回の全菓連青年部の「愛の菓子」power of sweets運動で、青年部活動に普段なかなか時間的人的協力が難しい部員もこの趣旨に賛同共感し、数多くの菓子をご提供いただきました。このご協力に「九州はひとつ」を深く感じることができました。そして、被災地の子ども達の笑顔に直接触れることができ、菓子を作る喜びを改めて感じ、菓子屋の原点をみることができました。全国の皆様ご協力ありがとうございました。

 九州ブロック長・田上啓二

店舗データ

にわかせんぺい本舗東雲堂にわかせんぺい本舗
株式会社東雲堂
〒812-0041
福岡市博多区吉塚6-10-16
TEL…092-611-2750
FAX…092-611-6847
H P…www.toundo.co.jp