神奈川県菓子店

2011.08.15

木むらや本店

あるお菓子屋さんの歴史

四代目と六代目候補 当店は私で四代目、いま五代目が和菓子の修行で一生懸命です。孫は小学生ながら物日には手伝ってくれます。神奈川県の横浜は、なかでも中区は県庁・市役所・港・中華街等が密集しているところです。中区の本牧は、海が近くで空気の美味しいところです。そこに木むらや本店が明治十三年から菓子店を営業しています。初代は尾張名古屋から伯母さんを頼って横浜にでてきました。織物が芳しくなかったようです。《後にその店を買い取り和菓子の製造を始める。大黒天落雁・吾妻おこし・磯最中等を発売するにその目算大いに当たり、今日の繁栄をもたらした。》と一〇〇年前の資料にあります。二代目は病弱ながら商売上手で更に店が大きくなり、お得意様も増えました。が、二十代の若さで亡くなりました。三代目は若くして所帯を持ち大変苦労をしたようです。関東大震災・戦争を体験し物資の無い時代に七人もの子供を持ち育て菓子屋の商売をしながら、大変だったと思う。店は先代のお陰で順調に商売が出来、私も四代目として木むらや本店を継ぎ親を喜ばせました。三代目も組合活動に積極的で神奈川県菓子工業組合理事まで勤めました。菓子を造りながら組合活動はなかなか大変です。店を潰してまで、とは思いますが私も、微力ですが組合の為に頑張っております。年もとり、そろそろ店の事も考え無いと、と思っていた矢先に、五代目が会社を退職して帰ってきました。六代目(小学四年生)も一緒に!決まった訳でもないのに、六代目の弟(小学一年生)も居るし。なにやら非常に嬉しくなり家内と顔を見合わせました。

 三代目の商売の仕方が今の私の見本で、何時の日か商売の上手な者が出てきて、先代の時のような木むらや菓子店に成るかもしれません。その頃には、四代目はこの世には居ないでしょう。横浜の小さな和菓子屋の小さな歴史です。

 神奈川県菓子工業組合副理事長・伊藤文一