視点

東日本大震災(平成23年7月)

―原発事故を顧みて―

 三月十一日の東日本大震災からほぼ三ヶ月経った去る六月九日・十日の両日、全菓連の矢部専務理事と一緒に岩手県・宮城県・福島県の三大被災地の菓子工業組合へ全菓連からのお見舞金を持参して訪問した。

 M9・0といえば一九〇〇年以降世界第四番目の大地震、どんなにひどいのかなあと思いながら赴いた。M7・3の阪神淡路大震災を芦屋で体験した私にとっては、予想していた程ではなかった。阪神淡路大震災の時は直下型縦揺れであったので、ドーンと一発で阪神高速道路の高架は壊れ、JR芦屋駅の駅舎は全壊、駅前のビルは傾き、見渡す限り木造家屋は壊れ瓦礫の下から「助けてくれ」という叫び声が聞かれたが、東北地方は横揺れで地震より津波によって家屋・船・自動車が流され、波を立てて押寄せてくるのかと思っていたが、次第に水位が増していく様をビデオで見せていただいて岩手県の津波の恐ろしさを知った。

 宮城県では高速自動車道を境に海岸よりはきれいに全壊、瓦礫も概ね片付けられ何箇所かに積み上げられていた状況で、高速自動車道から海と反対側は殆ど被害がなかったようで、仙台駅だけは当時屋根が吹き飛んでしまっていたという話であった。「松樹千年翠」といわれる松も根こそぎ流されて横たわっているのが印象的であった。

 福島県は原発被害だ。津波によって原子炉が浸水し、モーターが動かなくなり、原子から放射線が放射され、周囲の住民が避難を余儀なくされた被害であった。

 三県どれもこれも大被害には違いないが、一番問題なのが原発ではなかろうか。今になって再稼働については各地元は反対を唱えているようだが、一体日本の国はどうなるのか考えてみる必要があるように思う。原発の代替は、風力発電・太陽光発電・水力発電等、色々世間では問答されているようだが、すぐに対処出来るものは一つもない。現在の原発を再稼働させないのではなく、出来るだけより安全に運転出来るよう、発動機は高い所に設置するとか、津波の防波堤を構築するとか、より早く出来る対策を考えるのが先決ではなかろうか。節電も結構、要は電気は貯蔵出来ないので大量に使う工場等は、土日の休日に又夜間に操業を考えるとか、電車は特に夏の冷房の多い時間帯に間引き運転をするとか、総て国益のために考え出すべきである。

 昭和二十年八月十五日のあの敗戦の日、東京・大阪は焼野原、広島・長崎は原爆で数十年は草木も生えぬといわれた当時私は旧制高等学校の一年生であった。本当に日本は復興出来るのか疑心暗鬼であった。それがどうして世界第二位の経済大国に成長し、近時は中国に抜かれて三位に転落したものの、明治大正生まれの先輩の皆様の力で立派に立ち直ったのだ。今度は我々昭和生まれの番だ。世界でも知られるゲルマン民族とならぶ大和民族だ。力を合わせて世界がびっくりする復興を一日も早く完成したいものである。

全菓連理事長・岡本楢雄