視点

7月から原産地情報の提供を(平成23年6月)

―米トレーサ法により義務化―

来月の7月1日から米トレーサ法により米の原産地情報の伝達が義務付けられる。同法は、本欄でも既に紹介したように①取引の記録の作成・保存と、②産地情報の伝達という二つの部分から成っている。前者は昨年10月から法律が施行されており、来月からは後者が義務化される。繰り返しで恐縮であるが、昨年6月に全組合員に配布した解説冊子『米トレーサビリティ制度の具体的対応について』(平成22年5月、以下、「解説冊子」)を手に取っていただき、新しいルールに適切に対応されるようお願いしたい。

折角の機会でもあるので、食品トレーサビリティの意味をもう一度押さえておこう。現在、食品衛生法、JAS法によって容器包装食品は賞味期限や製造者の氏名・所在地等を一括して表示することが義務付けられている。それらの表示は消費者の購入選択の目安となるとともに、万が一食品事故が生じた時には責任の所在の追及、製品回収などの行政措置が迅速かつ的確に行われるための目的をもっている。保健所の検査で製造過程、商品の搬送などに問題がないとすれば、次に製造に使用した中間原材料、原材料に問題はないか、原体原材料はどうか、というように順を追って素早くに危害原因を突き止めていかなければならない。今年5月の焼き肉チェーンの生肉食中毒事件を思い浮かべて欲しい。

事故のあった食品の危害を、上記のように製造現場から農場まで順次遡って追いかけていくことができることを「トレーサビリティ」と呼んでいる。そうした作業は通常、商品の流通経路に沿って取引伝票を遡っていけば可能である。今回のトレーサ法においても「だんご、もち、米菓、赤飯、おこわ」を製造する事業者は、まず原材料の仕入段階では、原材料の名称、産地名、数量、年月日、仕入先などを記載してある『納品伝票』(又は製品規格書)を日付順、品目順に綴じ込み3年間保存する方法により対応する(解説冊子5~6頁)。

次に製造・販売段階においては、その日に製造された商品が、いつ仕入れた原材料(米、米粉など)によってどれだけ作られ、販売されたかを明らかにしておかなければならない。このため、品目別に『製造日誌』を作成し、①製造日付、②数量、③使用した原材料の仕入日(上記の納品伝票と対比できるようにして)、④販売量(販売残があれば、廃棄など処分方法をメモする)を記録し、3年間保存する。製造した商品を自店舗以外の卸業者や小売業者等に販売した場合には、自ら発行した『販売伝票』を上記のと同様に綴じ込み3年間保存する(解説冊子7~8頁)。

以上によってトレーサビリティは完成する。しかし、先の事故米事件が社会的に大きな関心を呼んだこともあって、新制度では消費者の安心のために米の産地名情報を提供することが義務付けられた。これが来月からスタートする消費者への産地情報の提供である。まず事前に、仕入れた原材料などの納品伝票に産地名が記載されているかどうか、もう一度チェックしておく必要がある。記載がないときには仕入先に連絡して納品伝票を再発行してもらう。また、仕入れた米粉など中間加工品で、原材料米の産地(国産、外国産)が複数以上にわたる場合には、多い順に産地名と使用割合が記載されているかどうかを確かめる。

消費者への産地名の伝達は容器包装への表示のほか、店頭でのポスターや店頭での口頭による伝達なども認められているので適宜、やりやすい方法により対応する(解説冊子9~10頁)。また、産地名の記載(伝達)は、国産米は「国産」又は「国内産」(都道府県名・よく知られた地域名でもよい)とし、外国産の場合には「国名」を記載する。産地が複数に及ぶ場合には原材料に占める割合の多い順に記載する。産地が3か国以上ある場合には上位2か国のみを記載し、その他の産地を「その他」と記載することもできる。今後の消費者への信頼性向上、自らの経営防衛といった観点をも考慮し組合員には新制度への適切な対応を重ねてお願したい。

 全菓連専務・矢部正行