新潟県菓子店

2011.06.15

御菓子鋪有限会社にむらや

和菓子文化を大切に

御菓子鋪有限会社にむらや寺尾店 その昔小さいながら、水の綺麗な町として、造り酒屋や、料理屋が軒をならべる新潟市内野町で創業した「にむらや」さんの三代目専務二村博さんと圭子奥様を訪ねました。

 博さんは、新潟県菓子工業組合青年部副会長として活躍されているかたです。

 初代は、沢山の商売を経験し最後に「にむらや」という屋号で商売を始め、二代目が新潟の老舗香月堂で修業を積み、赤鍋一つからお菓子作りを始めてお店の基礎を築きあげました。それまでの間、大正4年の内野大火、昭和28年の大火、昭和38年念願の「にむらや本店」をこの地に開店させた翌年の昭和39年の新潟地震でまたも被災を乗り越え、お客様の注文に誠実に対応する商売の姿勢が認められ、今では和菓子専門店として新潟で評判の良い和菓子専門店です。

 二代目が発売した「白波まんじゅう」は良寛の慈悲のようなやさしい味と評判になり、現在でもお店の看板商品として地域の皆様に愛されています。

 そして三代目博さんが心に残るお菓子をと丹精こめて開発したのが大粒栗、こしあん、抹茶薯蕷種、紅をそめた練切りあんを包んだ薯蕷饅頭「五福満壽」です。注文をしないと手に入らない「はれの日」のお菓子としてお客様に認知されつつあります。

 もう一つ新潟大学の地元で商売をさせていただいていることから、少しでもこの地域に住む学生との関わりを大切にしたいと、コシヒカリ米を使った「新潟大学饅頭」を新潟大学の学生と共に作りあげ、新潟大学オリジナル商品として帰省などの御土産に喜ばれているそうです。

 今回取材にお邪魔した寺尾店は昨年12月の改装に際し、この地に出店して22年地域の皆様に可愛がっていただいたお礼と、和菓子を食べるきっかけを増やしたい、和菓子の良さをもっと知ってもらいたい、和菓子とは距離のある若い世代の人たちに立ち寄っていただけるお店にしたいと、お抹茶とお菓子を食べていただく隠れ家のような雰囲気のスペースを併設なさいました。

 お客様に心地よく思っていただけるお店を目指すには自分たちの目の届く範囲で商売をするのが大切と今後も現在ある内野本店と寺尾店の二店舗にこだわって行きたいとのことでした。取材中もお客様が途切れることなく来店され、菓子の注文をされていました。

 最後に、御茶席のお菓子のご注文を全て一人でこなすと博さんからお話いただきました。「時代は変わり和菓子はごく一部の嗜好品となりつつあるのではないでしょうか。『甘くないからおいしい』ではなく『甘くて旨い』と感じるお菓子作りをし、そこに伝統と文化をあわせ持つ商品を作り続けていかなければ所謂和菓子という形は茶道文化の中の一つでしか生き残れないのではと危惧しております。『スイーツ特集』と銘打った雑誌にはケーキが紙面一杯にならび和菓子と思われる商品は数個。たとえばキリストの誕生日をほとんどの日本人がお祝いするのに、ほとんどの日本人が仏教徒でありながら釈迦の誕生日『花祭り』をお祝いしない。そんな厳しいマーケットの中だからこそ、季節感はもちろん月々の節供、行事に因んだお菓子を大切にし、その関わりをお伝えすることにより視覚味覚だけでなく知識をも刺激してお菓子を味わっていただくことも必要なのではないでしょうか。そして『和菓子でお客様をもてなしたい』『和菓子はたのしい』と思っていただけるよう努力することが、八百万の神の国日本人の豊かな食の1つ『和菓子』で商売させていただける道と考えております。」

 和菓子に対する強い思いとお客様と地域の皆様に対する感謝の気持ちお聞きし、新潟市の期待の和菓子屋としてますます繁盛することを願っています。

 関東・甲信越ブロック長・吉田勝彦