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羊羹のふるさと小城

伝統製法の「切り羊羹」

小城羊羹協同組合 佐賀県の中央にある小城市には来年創設六十周年を迎える小城羊羹協同組合があり総務省消費調査で毎年のように佐賀市(佐賀県)が羊羹消費一位となる由来となっています。佐賀市の佐賀城本丸歴史館には佐賀県の代表的人物「近代の五百人」の紹介があり、森永製菓創業者森永太一郎、グリコ創業者江崎利一と並んで小城の羊羹業の功労者である森永惣吉と村岡安吉が顕彰されています。明治初年に始まったとされる小城の羊羹業で当初活躍した森永惣吉は昨年末佐賀県立博物館、今年春小城市歴史資料館「桜城館」にて特別展が行なわれました。昭和二十七年二月小城羊羹協同組合設立の中心的役割を果し初代理事長となった村岡安吉は羊羹業の近代化に尽力し地域産業としての地位を確立した功労者として知られています。小城の羊羹業の産地形成は明治時代に始まり、日清日露の戦役を経て次第に名声が高まっていきました。第一次世界大戦前後の近代化により機械化や流通の多様化、多色刷包装などが実現し、大正末期から昭和初年の大衆化の波により地域産業としての地位を確立しました。戦後の混乱により多数の業者が乱立し、品質の問題も出現したため有志が集い小城羊羹協同組合が設立されました。昭和三十四年には組合会館が建設され、今年県道拡幅により修築が行なわれ新たな姿を示しています。平成六年には有田焼唐津焼等と共に伝統的地場産品として県の認定を受け平成十九年には長崎県のカステラなどとともに地域ブランドの認定も受けています。初期には煉羊羹、櫻羊羹などとして販売されましたが、現在では小城の地名を入れた「小城羊羹」の商標が一般に認知され広く知られています。ラミネート紙に充填した煉り羊羹は昭和十年頃からの製造とされていますが、それ以前の羊羹舟に流し、固めた後一本一本を切り分ける「樟物」の代表である「切り羊羹」が伝統製法として小城の地にて今も盛んに作られ「羊羹のふるさと小城」のシンボルとなっています。

 佐賀県菓子工業組合理事・村岡安廣

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