山口県菓子店

2011.03.15

御菓子司 つねまつ伝助

環境への感謝を忘れない

恒松夫婦 今回は青年部の中でも有名な方で、組合活動にとても熱心な山口県菓子工業組合専務理事、且つ今期途中より青年部部長も兼務されておられる恒松恵子さんのお店を訪れた。

大正14年、セメントの町小野田に恒松伝之助さんが創業され、当時は物資が不足で食べるものもろくに無い時代、甘いお菓子は重工業の町小野田の人からことのほか喜ばれたようだ。その当時、町の象徴でもあったセメントは現在のような袋ではなくセメンダルと呼ばれる樽に入れて運搬されていた事から、戦前はせめんだる饅頭として樽型の焼菓子を作っていた。現在もその木型が大切に展示してあったが、昭和27年もなかの普及にあわせてせめんだるもなかとし現在に至っている。北海道の大納言小豆にこだわり、勤続40年の職人さんが製餡をされておられた。現在も全売り上げの3割を占める主力商品で取材中も『せめんだるを…』と多くのお客様が来店され地域密着を目の当たりにした。

 昭和50年頃洋菓子製造も始め、平成17年工場のある900坪敷地内に新ブランド『伝助』を立ち上げ店舗を設けた。店内奥中央にバッケンの『見せる窯』があり、従業員方々と飾り付けやデイスプレーを考案し、出来たて感やお菓子の甘い香りを届ける為に店舗すぐ裏で作りたてを販売する。伝助オープン記念菓として米粉で作ったカステラ『伝助焼』はカステラの泡切り工程を入れずに製造したもので特許をとっているとのことだ。

 まだまだ商品の紹介もしたいのだが、今回は恒松会員の事を少し書きたいと思う。写真の男性がご主人で主に和菓子の製造を担っておられる。とても温厚そうなお方で歓待していただいた。また従業員さんに恒松会員の事を尋ねると即座に会社のムードメーカーです、と即答。中央会が実施している中小企業組合士の資格も取得し組合活動にも熱心で、これは業界の集まりでも周知の事で社内でもその明るさは変わらないようだ。日頃の業務の中でご自身が一番大切にしていることが接客とのこと。遠路お店に訪ねてこられたお客さまにいかに気持ち良く笑顔でお帰りいただくかということに心を砕いておられる。また地方発送の方には山陽小野田市のPRパンフレットを入れ出身者には故郷を想っていただき、そうでない方には町のPRに余念がない。これほどまでの地域への想いが多くの市民に支持されている所以であろう。

 彼女曰く、「考えてみればお菓子を通じて、お客様の幸せに携わる仕事している事は本当に豊かで幸せな人生。幸運なことにこの店に嫁いだ事でポジションが与えられ、そしてある程度の権限を持つことができ、世間的にも肩書きだけで認めていただける。素晴らしい人生のステージが期せずして与えられているわけです。そしてそのステージは自分の努力いかんで繁盛店にすることもできる希望に満ちた場所なのです。自分の心がけ次第で思い通りにできる恵まれた環境を認識してもっとお仕事をしたい。」また「取材されたことによって改めて自分の想いを確認することが出来た。感謝しています。」との事。ご自身の環境を冷静にとらえ、感謝の気持ちを忘れず常に前を向いて進もうとする姿勢に心から感銘した。我々の多くは産まれた時に先人が基礎を作っていただいておりそれ自体とてもありがたい事。時勢や環境を嘆いている自分自身にハッとさせられるような言葉だったので、私も含めた全国青年部の仲間に勇気づける言葉として取り上げさせていただいた。技術やお金などよりももっと大切なこの感謝の心がこれからも伝助を支え、今以上に皆さんから愛されるお店となる事は間違いないと痛感した。

 中四国ブロック長・加藤博基

御菓子司 つねまつ 伝助

店舗外観756-0057
山陽小野田市西高泊676-3
TEL:0836-83-9060
FAX:0836-83-4212