各地の菓子店探訪
大分県菓子店の投稿

御菓子司紅屋(別府)

御菓子司紅屋(別府)

写真① 今回のブロック長がゆくは、西側を鶴見岳、伽藍岳の山々に囲まれた源泉数、湧出量ともに日本一を誇る温泉都市、泉都とも呼ばれる別府市に行って参りました。

別府温泉は湯治客だけでなく、明治・大正の文豪が愛した町。

そして小説家 織田作之助さんの代表作「夫婦善哉」の舞台となった町でもあるそうです。

この別府の地で、上海、東京、いろいろな土地で修業を重ねて来られた二代目が湯治に来て、ここに根付いてお店を開き、修業先の一文字を付けた御菓子司紅屋を営まれてから約70年、初代から数えると約100年も続く老舗の四代目として、サラリーマンを経験されたのち、三代目の下で修業を積まれている神屋信博氏にお話を伺いました。

店内に入ると、最初に目に付くのが色とりどりの上生菓子、そして朝生菓子から焼き菓子まで沢山のお菓子が並べられ、特に上生菓子が数多く並べられているのに驚きました。季節ごとに新製品を出され、年間を通じて70~80種類ものお菓子を出しているそうです。

神屋さん曰く、「別府の風土として、上品に陳列するよりもたくさんのお菓子を陳列しています」たくさんのお菓子たちが目を楽しませてくれます。

紅屋さんの人気商品を伺うと、最中(鶴見の嶺)、鶴見岳を模して作られた特注の最中種に小豆あん、白あんの二種類。丁寧に練り上げられた、つやが良く、やわらかい餡。

焼き菓子(豊の湯けむり)、小麦粉と麦こがしを混ぜ合わせ、漉し餡に刻んだ栗を練り込んだ中餡を包餡した、麦こがし(はったい粉)の香ばしさがたまらない一品です。

仕上げに、湯けむりが立つ様子を、粉糖をまぶして表してあります。

蒸し菓子(湯の町ぶらり)、小説【夫婦善哉】にちなんで作られたお菓子で、米粉100%で作られたオムレット生地にコーヒー、イチゴ、抹茶つぶあんのクリームを半月状に折りたたんだお菓子。柔らかな食感、しっとりとした生地と甘さを抑えたクリームとの相性がとても良く、抹茶にもコーヒーにもあう和菓子です。

最後に、今後の展開を伺いました。代々受け継がれてきたお菓子、地域の独特なお菓子など、素材にこだわり、防腐剤を使わない、安心して食べていただけるお菓子をこれからも作って行きたい。

伝統を守りながらも、和菓子、洋菓子の垣根を越えたお菓子作り、新しいお菓子を作って行きたいと力強く答えていただきました。

大分県菓子工業組合青年部が立ち上がり、会員の一人として大分の菓子業界を引っ張っていく力強さを感じる四代目神屋信博さんでした。

 九州ブロック長・野田拓史

御菓子司紅屋

御菓子司紅屋

大分県別府市東荘園町2-2
電話番号 0977-22-3507
営業時間 午前9時~午後6時
定休日 日曜日、第三月曜日