各地の菓子店探訪
静岡県菓子店の投稿

明治元年創業「村上屋」

素材の味を生かしたお菓子作り

村上屋 NHKで「龍馬伝」が放映され幕末がブームになっている。明治元年(1868)に開業されたのが沼津の「村上屋」さんだ。創業は現在地より南に下がった通横町で屋号も「清月堂」だった。現在地に移ったのは沼津に鉄道が開通し沼津城内が町並みを形成してからで屋号も「村上屋」となった。創業時から朝生菓子が主で「きんつば」「大福」「団子」「すあま」などは今でも看板商品だ。明治、大正、昭和も30年代頃までは激動の時代で今では想像しがたい苦難をも乗り越えてきた。

 特別な家訓や社訓、祖先の教えなど伝わっていない。まずは店の立地条件に恵まれていたこと。繁華街であり近くには郵便局、銀行、商工会議所、警察、店の前を路面電車が走り停留所にもなっていた。先代から「素材の味を生かしたお菓子作り」を厳しく仕込まれた。これは代々受け継がれてきたものだ。そして流行に流されぬように自前の商品を固くなまでに守ってきた。戦後の物不足の頃は近くの魚市場から「イカ」を仕入れ「焼イカ」を販売して店を守った。

 当主の村上公彦は昭和27年7月15日、4代目として誕生。東京渋谷の紅屋で3年間修行する。本店の西武沼津店があり本店には甘味処も併設している。現在沼津菓子工業組合副会長を務めているが先代も組合長など歴任され親子で組合活動に取り組んでいる。また、地域への奉仕活動など積極的に務めている。

 静岡県菓子工業組合 沼津市:村上屋・村上公彦