各地の菓子店探訪
栃木県菓子店の投稿

御菓子司 いづみ

〝縄文の美〟を菓子に込めて

店舗外観 栃木県の北東部に位置する大田原市で創業し、今年101年目を迎える老舗の和菓子店です。

 当店の一番のお薦め商品は「縄文最中」です。その名の通り大田原市内に出土した縄文土器をモチーフにした最中菓子です。

縄文最中 今から約50年前、地元の郷土史家・高宮隆さん(故人)が、自分が発掘した浄法寺類型の土器を当時の店主に示し、「郷土に誇れるもの」と相談したのが始まりだと言います。

 最中の表面には立体的な模様を施し、再現度のレベルの高さは我ながら見事と自画自賛。中身のあんは従来のつぶしあんと当時最中には珍しいこしあんとが有ります。発売以来〝変らぬ味〟〝変らぬ形〟を継承しつつ現在に至っております。縄文最中は昨年、市の「大田原ブランド」に認定されました。

 それによって市のさまざまなイベント等で販売の機会を与えられ、販路を広げる事に大変役立たせて頂いています。今年の七月にも市が運営する「なかがわ水遊園」と言う栃木県内唯一の水族館で大田原ブランド認定品の合同販売イベントが有り、当社も参加させて頂きました。成果の方は思った程ではなかったものの、多くの人の目に触れ、商品の宣伝効果は充分だったと思います。

 販売から50年、常に多くのお客様に愛されて来た商品ではありますが、以前だったら、祝事・仏事・土産等で化粧箱に入れて大量に売れていましたが、近年生活様式の変化と共にその数が次第に減少しつつあります。今ならば対面販売よりもインターネットを使った通信販売が主流になりつつある様ですが、そちら方面はうといので、何とか既定の販売方法で売り上げを伸ばせないかを考えています。

店内風景 又、市では歴史を活かした観光と地域活性化に現在取り組んでいます。先の縄文土器や〝日本一美しい〟とされる「侍塚古墳」数々の史跡等、市では豊富な歴史と文化の資源を有しています。それらを活かして地元と都会の人をつなぎ、まちを活性化すると言うものです。すでに、それらの文化遺産をモチーフにした菓子や料理も生まれました。例を上げれば「古墳パン」や「古墳カレー」、「古墳チャーハン」など実にユニークなネーミングです。この市の取り組みにうまく乗って縄文最中の認知向上に何とか拍車をかけて行きたいと考えています。

 栃木県菓子工業組合大田原支部・成田眞通