山梨県菓子店

2022.08.18

和菓子処 さくら屋

開業17年目を迎えて

ショーケース 私は日本菓子専門学校を卒業後、東京新宿の和菓子店で修行し、その後山梨県笛吹市石和町にて2005年に夫婦で開業しました。今年で17年目になります。

 笛吹市は南には富士山など、豊かな自然に囲まれ、石和温泉や日本一の生産量の桃とぶどうが名産です。

 実家は和菓子屋ではなかったのですが独立を目指していました。私は東京生まれの東京育ちですが、父が山梨の笛吹市出身ということもあり、こちらで出店しました。

生あん(白餡、こし餡) 一から始めるということで何を売りにするか?上生菓子よりも一般のお客様に身近なお菓子である朝生菓子を中心に販売して食べてもらいたい。そのためには自家製餡を作ること。歴史や伝統、看板商品もないところからのスタートなのでおいしい餡を作るのが重要と考えました。つぶ餡、こし餡、白餡を炊いています。餡をお客様から褒めて頂くことは嬉しいですし、自信につながりました。材料も一から決めていくのですが、そもそも原料や包材の問屋さんとも付き合いがありません。電話帳をめくったのも今では良い思い出です。また、山梨は東京と隣県ですが、赤飯はささげではなく大納言のかのこ(甘納豆)を使ったり、お祝い事にはつるの子餅(すあま)が、法事にはおはぎが使われる事が多かったりと、その食文化や風習の違いに慣れるのには戸惑いました。しかし菓子組合の支部長にアドバイスを頂き、なんとか乗り切ることができました。

 特にその違いの一つに、東京ではお月見の風習自体があまりないのですが、山梨では一大イベントであり、十五夜だけではなく十三夜の時もお供えをします。また山梨の月見団子は特徴的で、主に上新粉の団子で餡を包む形です。年々、注文をしっかりともらえるようになり、当日はてんやわんやで営業しています。

 また、いちご大福を一年目から春に販売しています。自家製の白餡の中に苺を入れて毎朝もち米を搗いて作ります。当時は白餡のいちご大福は珍しく、白餡に抵抗のあるお客様も多かったのですが、販売を続けていくうちにリピーターが増え、口コミで広がっていったのは大きかったです。2年前からInstagramを始めたのですが、リアルタイムで発信できるメリットは大きいですし、今はSNSやインターネットでお店の情報が広まるのはとても早いように感じています。価格面では、原材料や光熱費が高騰していますが、無理にコストカットするのではなく、原料価格の上昇に合わせて販売価格を見直していこうと考えています。

 17年目で感じたこと。5年目までは「若いんだから頑張るんだよ」と声をかけてもらうことが多く、10年目ぐらいになると、「開店からもうそんなに経つんだ?早いねえ」と。そしてここ数年では「ここに頼んでおいたら安心だ」と言ってもらえるようになっていきました。信頼してもらえることに喜びを感じ、一日一日、営業していくことの大切さを感じています。

 和菓子処さくら屋・斉藤俊哉