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熊谷銘菓「五家宝」

100年フード認定・有識者特別賞受賞

五家宝 埼玉県熊谷市と言えば日本一暑い街として有名ですが、お菓子では五家宝です。江戸時代に中山道の宿場町として栄え、荒川と利根川にはさまれた肥沃な田畑では、良質の米や大豆が作られており、二毛作地帯の利点を生かして、小麦の他に水飴の原料となる大麦が多く生産されていました。そんな中で五家宝の原型となった干菓子が作られ、天保年間以降に改良が加えられ、近代化した製法を広めたようです。五家宝が全国区の知名度を誇るようになったのは明治16年の高崎線開通と共に五家宝の駅売りを開始、お土産として全国に広まって行きました。戦後に埼玉県を代表する銘菓としてブランド化、最盛期の昭和30年頃には30軒以上もの業者が熊谷市内にありました。時代の流れの中で現在では11軒が営業しています。

100年フード認定証 2021年12月熊谷市文化遺産保存事業実行委員会の方々が、文化庁が主催する「100年フード」への応募を行った所、100年フードの認定と有識者特別賞を受賞しました。組合としても、大変名誉であり大いに喜んでいます。「100年フード」とは、我が国には豊かな自然風土や歴史に根差した多様な食文化が存在しており、文化庁では、その中でも特に歴史性のあるものを文化財として登録する取組を進めています。その一方で、全国各地には比較的新しいものであることを理由に文化財として登録されていない食文化であっても、世代を超えて受け継がれ、長く地域で愛されて来たものが数多く存在しています。本事業では、そのような食文化を「100年フード」と名付けると共に、地域の関係者や地方自治体が100年続く食文化として継承することを宣言する「100年フード宣言」の取り組みを推進している事業です。

 熊谷では、受賞を機に、「五家宝コンソーシアム」宣言が策定され、100年フード・熊谷銘菓「五家宝」の多面的な発信、多角的な協働を目指すコミュニティの発足から「五家宝」の消費拡大、認知度向上、伝統を引き継ぐ店舗群の連携、学校教育の地域学習における「五家宝」の活用、健康自然食としての価値の確立、歴史を超えて愛される郷土遺産「五家宝」の歴史文化の再認識を掲げ。それぞれを具体化、協働するためのコミュニティ「五家宝コンソーシアム」を構築し、熊谷の「五家宝」が国内の100年フードをリードする存在であり続けたいと考えています。

 今年度は、店舗の地図化と、市内の全小学校へ出向き地域学習への協力を進めました。今後も、自治体、観光協会、熊谷市文化遺産研究会と当組合が協力しながら、菓子文化を継承し、まちづくりに貢献していきたいと考えています。

 埼玉県菓子工業組合副理事長・熊谷菓子工業協同組合理事長・石川雅雄