各地の菓子店探訪
宮崎県菓子店の投稿

玉依姫抹茶大福

神武さまのおすそわけ

玉依姫抹茶大福 私は宮崎菓業青年会会長、御菓子司上野三代目上野正貴と申します。創業74年の和菓子屋です。

 今年の1月18日に宮崎商工会議所主催の神武さまお土産品審査会がありました。「神武さま」とは、宮崎市で140年以上続く伝統行事「宮崎神宮大祭・御神幸祭」です。今回、お菓子でその神武さまの全国的な認知向上を目的とした「神武さまのおすそわけ」の企画募集があることを知りました。神武さまは、私が子供の頃から続いており、店前の大通りを宮崎神宮から4キロの道を歩いてきた御神幸行列が通ります。華やかな衣装を着た花嫁が馬に乗るなど、とても賑やかです。その様子をわくわくしながら見た光景を今でも思い出します。この思い出深い神武さまを、お菓子を通して全国にPRできればと思い今回の企画に応募する事にしました。

玉依姫抹茶大福 包装 応募条件が、宮崎県産の素材を使った大福という事でした。宮崎には素晴らしい素材が沢山ありますが、私個人抹茶がとても好きなので、宮崎県でお茶の生産が盛んな新富町を訪ねました。そこでお茶の生産農家を営んでいる豊緑園さんが無農薬で有機栽培された抹茶を作られている事を知り、私は、この上質な素材を使った抹茶大福を作ってみたいと考えました。抹茶のお菓子作りは、繊細な素材のため大変難しいのですがお客様に抹茶の素晴らしさを味わって頂きたいので試行錯誤を繰り返しながら、試作を重ねていく日々でした。大福の生地や中の餡の配合を細かく変え、ようやく抹茶の旨みを最大限に生かした自分が納得する抹茶大福が出来ました。

 名前は、「玉依姫抹茶大福」と名付けました。玉依姫とは、神武天皇の母君になります。水の神様としても有名です。宮崎神宮に御祭神が祭られています。お米と水は大福には欠かせない材料です。母君が我が子を温かく抱くように生地と餡を丁寧に真心込めて包んでいます。

 こうして完成した玉依姫抹茶大福は、審査会で審査員の皆様からの多大なるご評価を頂き「神武さまのおすそわけ」として正式に認定されました。その後、3月15日に宮崎神宮で奉納式があり4月15日販売開始となりました。

 これから、玉依姫抹茶大福が神武さまのお土産品として多くの方に食べて頂きながら、地元に根付き、宮崎を代表するお土産品になるように日々努力し精進していきたいと考えています。

 宮崎菓業青年会会長・御菓子司上野三代目・上野正貴