兵庫県菓子店

2022.03.15

三田菓庵 西村清月堂

三田で105年

俵もなか 六甲山地の北側に位置する兵庫県三田(さんだ)市は、古代から続く歴史ある自然豊かなところです。一方、大阪や神戸にも近く、平成初頭にはニュータウンの開発により急激に人口が増加した都市でもあります。三田菓庵・西村清月堂さんは三田の地で大正5年に創業、現在は三代目の西村欣祐(よしひろ)さんが店主を務められています。創業当初、もなかと駄菓子を販売していたお店を、西村さんが和菓子専門店に変えたそうです。

三田菓庵 西村清月堂 創業時からの代表銘菓は、地元三田の糯米を使った香ばしい皮に自家製の大納言小豆のあんが入った米俵の形の「俵もなか」。他にも三田市樹の赤松をイメージした竿菓子「赤松」や餅風ゼリー菓子「三田青磁」など、地元産の素材や名称を使い、三田市に根差したお菓子作りに取り組んでおられます。三田の名所・旧跡を知らないニュータウンの人にも、栞をそえて地元のお菓子として使ってもらえるようにアピールしています。季節感あふれる上生菓子は、伝統的な花や鳥はもちろんのこと、バレンタインやハロウィン、クリスマスなどをモチーフにしたものも多く、卵や小麦などのアレルギーのある人にも喜ばれています。

 2008年の姫路菓子博では、実物の50分の1サイズの姫路城の制作指揮をとられた西村さん、当組合のイベントでも美しく繊細な工芸菓子を展示していただきました。細部まで精巧に作られた花や昆虫、洋菓子の飴細工の技法を使った表現など様々な技術を取り入れています。その技術を積極的に伝授し、若手の育成や和菓子業界の発展にも尽力されています。

 「早朝から夜遅くまで働いている姿を見せるだけなら、お菓子屋を継ぐ子もいなくなる」と、工場は午後4時、本店は午後5時にきっちり閉めるとのこと。従業員の定着率も良いそうです。西村さん自身も仕事だけでなく、プライベートを楽しまれています。「人生は一度きり。やりたいことのためには時間を取りたい」。余裕のあるプライベートでの経験も、いろどり豊かなお菓子を生み出す原動力になっているのだと思いました。

 兵庫県菓子工業組合事務局・奥山優子