大分県菓子店

2022.02.16

菓子工房 月ヶ瀬

自分の彩を出す挑戦

遠江豊氏 大分市中心部の金池町で洋菓子店「菓子工房 月ヶ瀬」を営む遠江豊氏(49才)は、昨年9月に父が亡くなったことを機に一度現状を見つめ直し、心機一転で新たなことに取り組んでいこうと準備をしている。

 月ヶ瀬は豊氏の父である俊則氏が昭和41年に開業した地域密着型の菓子店で、俊則氏が大分市の老舗和菓子店で15才から約10年間修業をした後、別の店で洋菓子を学び、29才の時に独立し現在の場所に店舗を構えた。

 当初、和・洋菓子を多く品揃えし店売りに力を入れていたが、次第にカステラや上用饅頭等の評判が口コミで広がり注文が増え、その流れに乗り現在も続いているウエディング等の仕事に繋がっていった。

 遠江家長男の豊氏は大分市内の高校の調理科で食品製造の基礎を学び、卒業後は、神戸市の洋菓子店ボックサンで働き菓子作りの腕を磨いた。

 当初の計画では8年くらいしっかり勉強をして多くの技術等を身に付けてから大分に戻りたかったが、あの阪神・淡路大震災が発生し状況が激変したため5年半の修業を終えて帰郷した。

 さっそく月ヶ瀬に就職した豊氏は、少しずつ父の仕事を引き継ぎながら神戸で学んだことを活かした商品づくりを行った。

 しかし俊則氏の断れない人柄もあってウエディングのデコや引菓子の注文等が増えており、週末に向けて集中して忙しく、なかなか店舗売りの商品開発に時間を割けないという状況が続いた。

 そんな中、豊氏に母校である楊志館高等学校から調理科のデザート講師の仕事を頼まれ、恩返しのつもりで休みを返上してやってはみたものの更に時間に追われることとなり自分が本当にやりたいことを見つける間もなく時間が過ぎていった。

 その後、俊則氏が体調を崩して入退院を繰り返すようになり、付き添いや看病等で二人だけの会話が増えると、自然と父が創った月ヶ瀬の歴史を振り返るようになり、この先どのように守っていくかを考えるようになった。すべてを自分に託した父の気持ちを汲むと、これからの月ヶ瀬では、父と培った経営理念を基盤に、もっと二代目としての自分の彩を出すために新たなことにチャレンジすると決めた。

 そしてこの長引くコロナ問題等で先行きが不透明な中、じっとしていても埒が明かないと、現在豊氏は隣町に月ヶ瀬の新店舗を建設中で、併せて商品の見直し及び、目玉になる新商品の開発を手掛けている。

 今年50才の節目を迎える遠江豊氏が仕掛ける想いの詰まったプロジェクトに心より期待したい。

 (新店舗は5月下旬OPEN予定)

 大分県菓子工業組合事務局長・早瀬大雄