各地の菓子店探訪
長野県菓子店の投稿

御柱年への期待

御菓子處寿堂

「塩最中」「あっぷるけーき」 長野県菓子工業組合連合会諏訪支部支部長に昨年度より就任しました、竹村です。自店は長野県の中心、諏訪湖のほとりの諏訪市で「御菓子處寿堂」を私の父が昭和34年に開業して、私が二代目となり両親健在で地域の皆様に、岩手菓子博に出品した「塩最中」や地元りんごをサンドした「あっぷるけーき」等ご愛顧いただいております。

出店した年の寿堂 一昨年来のコロナ禍が続く中でも本年は、七年に一度の御柱年に当たり、三月の諏訪大社の上社、下社の御柱の山出しから始まり、ゴールデンウィーク期間の里引きにかけての春の賑わい。そして、初秋の頃からは、各地域の神社、道祖神の小宮祭、また地域の企業の社の御柱までと、北風が吹き始める師走の初頭まで祭り一色の一年になります。その各祭りに、振る舞いの餅や、赤飯、土産用の菓子はつきものとして、地域の皆さんに愛顧されてきました。近年は、少子化によって、親戚等の人数も減少傾向で、各家庭での来客数は、減ってきていますが、全国的に有名になった御柱祭への観光客数は増加傾向にあって、地域の店舗も御柱祭に向けての、企画商品を開発中のことでしょう。コロナで、1年先延ばしになった、長野の善光寺の御開帳と、同時期の祭りに、なお一層の盛り上がりを期待しているところであります。オミクロン株の早期の終息を願うばかりです。

をかしまつり また、今年16回を迎える、「をかしまつり」というイベントがあります。駅前の広場に地域の菓子店、パン店が一日限定で出店して、一か所で地域の菓子やパンが購入できたり、ライブステージでは実演コーナーもあったりと、毎回趣向を凝らしながら続けています。このイベントで面白いのは、各店舗意外と販売に普段作り手の店主が担当する店が多いことです。商品の説明や、おすすめポイント等、直接お客様と交流できるのは、貴重な機会になっております。昨年は、コロナ渦での開催ということで、各店舗を廻るスタンプラリーでの開催になりました。本年も、オミクロン株の猛威が心配されるため、昨年同形式での開催が決定されています。この形式も当初は、うまくいくのか心配していましたが、割引券付きのマップ片手に街歩きを兼ねて、普段通り過ぎるだけの店舗に入店するきっかけになったと好評だったとの声もあるので、今回も、春先の楽しいイベントになってくれる事を願っています。

 当地区の廃業率も、前回六年前の御柱祭の頃より、二割が廃業となりました。そして、次回六年後を考えると、後継ぎのない事業者が半数を占めてきてしまうかもしれません。そして全国展開の企業の、全国どこでも同じ商品を手にできる環境の変化の中でも、地域に因んだ商品を求めるお客様の気持ちは、その土地を訪れたり、暮らしたりする楽しみに繋がるものですので、自らが作った商品を自らの手でお客様にお渡しできる喜びを励みにして行きたいと思います。

 長野県菓子工業組合諏訪支部会長・竹村義憲