大分県菓子店

2022.01.17

菓子処 いわまる

ワクワクする店作り

看板商品「ちびどら」 今回ご紹介するのは、大分県中津市にある「菓子処いわまる」です。福沢諭吉の出身地として知られ、風光明媚な景勝地「耶馬渓」を擁する中津市の、幹線道路から少し離れた場所にお店を構えます。店主の岩丸睦弘さんは語ります。「大通りに面した所に出店することを勧められたりもしたが、わざわざ来てもらえる店作り、辿り着いて店に入るとワクワクするような店作りを目指して敢えてこの場所にこだわっている。」岩丸さんは3代目にあたりますが、当初はお店を継ぐ気はなく教職に就いていました。しかし26歳の頃に結婚や今後の人生を考えた時、予てからモノづくりに興味のあったことと機械化されていくお菓子作りの現場を見て、自分もやってみようと決断しました。少し遅れた事業承継のスタートでしたが、とにかく2年で一通りのことを覚えると誓い、先代から技術を学ぶと同時に業者を通じて各地の有名店を見学させてもらい、様々な人と出会い学びながら33歳の時には正式に代替わりをし、6年前には一級技能検定をとるまでになりました。

DIYでリフォームした陳列棚 中津市では「丸房露」を法事などで使う風習があります。江戸時代に中津藩の殿様の命により、長崎のカステラをモチーフに開発されたといわれ、佐賀県との丸房露の発祥論争が起こったこともあるとか。味は店毎に違いますがひと袋に2枚入りが特徴で、中津の進物の定番として愛され、中でもお盆に使うことが多いので夏に焼く数が1番多いそう。暇になりがちな夏場が悩みの菓子屋としてはうらやましい限りです。そんな昔ながらのお菓子を継ぐ一方、3代目店主が創作したお菓子が「ちびどら」です。約15年前奥様の「普通のどら焼きでは大きすぎて一つを食べきれない」という意見をきっかけに開発された商品は、生クリームなどをはさんだ一口サイズのどら焼きで、今ではお店の看板商品になっています。

店舗外観 コロナ禍の影響は少なからずありましたが、多くの気付きを得る機会になり、また一歩前進するきっかけにもなったそうです。「外出・営業自粛ムードが広がる中、お客様からGWも是非営業してくださいと言われた。お菓子を買うのを楽しみにしているからとの電話をいただき、改めて目の前のお客様を大切にしたいと思った。それまであった大きな陳列ケースを外し、祖父である初代が創業時に使っていた収納棚をDIYでショーケースにし、祖母の嫁入り道具の箪笥を陳列台にした。一方で冷凍ケースを入れ、遠方へのお菓子の持ち運びも出来るように対応した。コロナ禍の中、思い描いていた店作りに近づけられました」と店主は楽しそうに話します。

3代目店主の岩丸睦弘さん 活動を再開した大分菓青会の2代目会長を務める岩丸さんは、人との出会いを大切に多くの経験を仲間と共有しながら、業界全体の発展のため、伝統と革新の融合を継続していかれることと思います。今後益々のご活躍を祈念申し上げます。

 全菓連青年部九州ブロック長・原田茂樹