鹿児島県菓子店

2022.01.17

~リッチモン松元~

親と子、そして来し方の絆に導かれ

上生菓子 鶴の飛来地で有名な出水市は、熊本県と隣接する鹿児島県北部の街で、この冬も一万を超える鶴たちが越冬しています。

 また、その立地から、かつては肥後(熊本県)に接する薩摩藩の防塞の要だったのでしょう。今も武家屋敷が保存される歴史と文化の街でもあります。

 鹿児島市からは車で約90分、新幹線では約25分。そんな出水市にある「リッチモン松元」を訪れました。

 初代は復員後、苦労しながら現在の地に菓子屋を開業したそうです。

 二代目で現社長の松元正一氏は、日本菓子専門学校を卒業後、東京浅草で洋菓子を修行、その後山口県防府市で和菓子を修行、そして鹿児島で開催された全国菓子博大博覧会を機に一度帰ってきましたが、もう少し学びたいと、東京人形町で改めて修行した後、昭和49年末に出水に戻ってきました。

奥様手書きのお品書き かるかん、木目羹、高麗餅、煎粉餅、ふくれ菓子、かからん団子、けせん団子、あくまき等の鹿児島の銘菓を中心に、手作りにこだわった飴や、鶴の飛翔感を表現した鶴せんべいなどを自店や地元のスーパー・物産館で販売するだけでなく、全国の物産展などの販売にもご夫婦で精力的に活動していらっしゃいます。

 そんな父親の背中を見て育った三代目の政喜氏にとって、菓子店を継ぐことは何の疑いもない、極自然な流れだったとのことです。高校を卒業後、東京の職業訓練校で1年間学びながら、「成城風月堂」で5年間洋菓子を修行、その後埼玉県さいたま市の「菓匠花見」で5年間和菓子を修行しました。

 そして、都会と地方では嗜好が異なるだろうと、地元に帰る前に、都会を離れ、長野県で更に3年間和菓子の修行をしました。

 ここまでは、父親が大切にしてきた修業時代の仲間の絆が、次々と縁を結んでくれました。
 そして、長野の地で、「選・和菓子職」優秀和菓子職部門の認定、更には一級菓子製造技能士(和菓子)の資格を取得しました。常に高みを目指し、たゆまぬ努力を続けた素晴らしい成果です。

松元正一社長と、三代目政喜氏とその家族 人生の伴侶も得、子宝にも恵まれた氏は、3年前に出水に戻ってきましたが、その向上心は留まることを知らず、職業訓練指導員の資格を取得し、ものづくりマイスターにも認定され、現在では高校の和菓子の講師、小学校の出前授業なども依頼されています。

 教えることは、創ることと視点が異なり、新たな発見や発想があり、非常に面白く、今後も続けていきたいとのことでした。

 政喜氏が作る上生菓子は、季節ごとの美しさもさることながら、中の餡にもこだわり、こしあんだけでなく、粒あん、抹茶あん、みかんあん、ゴマあんなど、それぞれに工夫がなされ、出水市のふるさと納税の返礼品としても人気があります。また奥様手書きのお品書きも大好評です。そして地元の保育園の月に1回のお誕生会にも用いられ、小さな和菓子ファンも拡大中です。

 人と環境に恵まれたと語るおふたりは、これからもぶれずに、信念を貫いた菓子作りの道を邁進されることでしょう。

 鹿児島県菓子工業組合事務局長・惠島理子