宮城県レポート

2022.01.17

母の思い出「鳩パン」

宮城の正月

2003年に㈱きくち家さんの出店していた「鳩パン」 12月に入り宮城県の各地で正月の準備が進んでいます。仙台市青葉区の大崎八幡宮ではひとつひとつ巫女が手作りした「ミニ門松」が、12月1日から販売されています。天気の良い日に散歩をかねて、娘の大学合格祈願への願いを込めて早速購入してきました。

 私の母の実家は大崎八幡宮のご近所で、母がよく話してくれるお正月の思い出、といえば旧正月にあたる1月14日の夕刻から晩にかけて大崎八幡宮で行われる「どんと祭」というお祭りの話でした。このお祭りは、新しい年の無病息災、祈願成就などの気持ちを込め、ご神火のなかに松飾りやしめなわ、古いダルマなどを投じるものです。全国各地で同じような行事が行われていますが、中でも仙台で行われるどんと祭は大規模なもので、コロナ禍以前は、毎年10万人ほどの参拝者が訪れる盛大なお祭りです。

「松焚祭」※平成17年度には仙台市の無形民俗文化財にも指定されました その中でも代表的なのが、300年ほどの歴史を誇る大崎八幡宮の「松焚祭」。年男などがこの火を目指し、さらし姿で町を練り歩き、お参りにいくことから別名「はだか参り」と呼ばれ、どんと祭のよびものとなっています。母が、その「どんと祭」の1番の楽しみにしていたと言うのが「はだか参り」でも「松焚祭」でもなく、どんと祭で売られていた「ハトパン(鳩パン)」という鳩の形をしたパンのようなお菓子とのことでした。ほんのり甘くて、可愛らしい形にお祭りの雰囲気も相まって、とても美味しくウキウキした気持ちで毎年お正月になると「鳩パン」が待ち遠しかった、と話してくれました。

 母から聞いた「鳩パン」を、毎年お参りに行く度に探しましたが、購入どころか販売しているのさえも見つける事が出来ませんでした。そこで、どうしても母の思い出の「鳩パン」を一目見たい!!と諦めがつかず、調べてみますと『駄菓子風土記』という本に「鳩パン」の由来の記載があり、大崎八幡宮鳥居の扁額に「八幡宮」と書かれた文字の「八」の字が鳩の絵になっているところからきており、「強健な身体になりますように」という願いが込められているという事がわかりました。

 しかし、残念な事に2007年までは、仙台市のお菓子屋さんが作っていたそうなのですが、現在では「どんと祭」で「鳩パン」を製造販売しているお菓子屋さんは無くなってしまったそうです。どうか、仙台市のお菓子屋さん!また大崎八幡宮の「松焚祭」の名物「鳩パン」をどうか復活させて下さい‼

 母の話によると、細い竹の先に直接「鳩パン」がつけられていて、「鳩パン」を持ち、食べながら歩くのがとっても楽しかったとの事でした。そんな母も75歳になりました。今年は夏に父が突然亡くなり、ちょっぴり元気がなくなってしまった母と「鳩パン」を食べながら祭りを楽しく笑いながら歩いてみたかったな~なんて残念に思います。

 思い通りにいかない事ばかりで大変な毎日が続いていますが、来年がより良き年になりますように、そして皆様が穏やかで良いお正月を過ごせるよう、願っております。

 宮城県菓子工業組合事務局・関根美智子