静岡県レポート

2021.12.16

「出前和菓子教室」

静岡県菓子工業組合

講習会で指導する村松光夫様 「全国和菓子甲子園」の効果か最近、高校生の地場産品を活用したパンやお菓子の開発が話題になることが増えて我々業界としてもうれしい傾向として捉えています。

 当組合でも青少年を対象とした「出前和菓子教室」を積極的に開催して和菓子の普及に努めているところです。最近、若い方の和菓子需要が増え、特に高校生からの教室開催の要望が多く和菓子協会の協力も頂きながら昨年より要望校に出向いて教室を開催しています。高校では料理室など整備もされており衛生的に実技も実施できます。生徒さんからは「団子、大福・まんじゅう」等の朝生から製餡づくりまで希望が出ていますが蒸し器、オーブンなど特殊機器はまだ揃っておりませんから現在は上生菓子の製造を主体にしております。それでも生徒さんは目を輝かせお菓子作りに励みます。

 問題はお菓子教室のスタッフの確保です。教室は精々1~2時間程度ですが前日の原材料の準備と当日の準備・片付けまでかなりの時間拘束されます。そのため現在は自主的に活動できる中高生で生徒数35名までとし最小の人数で対応できるように配慮しております。もう一点は講師です。講習の成功の是非は講師次第です。特に多感な高校生には技術だけではだめなのです。

旬菓亭店舗前で光夫様と奥様の和子様 おかげさまで当組合には最適な方が存在しています。村松光夫様(旬菓亭・富士市)です。氏は一般家庭に生まれ、千葉商大商経学部商学科を卒業、教師として高校2級商業科普通免許を取得しており、当初は商事会社に勤務、次長まで務めましたが学生時代、昵懇になった菓子屋さんが忘れられずに憧れて弟子入り、本当に菓子屋になるのならと品川の木村家を紹介され、ここで和菓子の基礎を学びました。たまたま、この近くに「製菓実験社」があり石崎氏、佐々木勝氏など著名な先人に巡り合い菓業振興会などに出品して腕を磨きました。以後、各店から依頼され職長として後進の指導を行ってきました。平成2年、和菓子の店「旬菓亭」を開店してからは近くの「富士調理菓子専門学校」の講師も務めました。「旬菓亭」は製紙工場の中の住宅地で最近開通した幹線道路の脇にあり和菓子店に相応しい粋なつくりのお店で心遣いのある優しい奥様の和子(よりこ)様と二人三脚で頑張っておられます。

 お店から製造場が見られるように大きなガラス張りの壁になっていました。ショーケースには多品種のお饅頭が並び和菓子店の雰囲気を醸し出しています。店内には数々の品評会の賞状が整然と飾られ技能の素晴らしさが伝わってきます。訪問した日は、富士市が特産化を進める「ほうじ茶」を盛り上げようと「富士ほうじ茶マルシェ」開催の準備に追われ多忙な日でしたが快く迎えていただき取材に応じていただきました。

 氏の講習は学生に大変評判が良く常に笑顔のある教室となっています。秘訣を尋ねたところ、教師としての学習をしたこと、多くの先輩から指導を受けたこと、後進の若者と調理学校で教鞭をとったことが参考になったと話されました。今後の組合事業として、こうした指導者の育成発掘も重要な課題となるでしょう。

 静岡県菓子工業組合顧問理事・森田紀