栃木県菓子店

2021.11.17

御菓子司紅谷三宅

SNSのアカウントを育てて売上を拡大

SNSで話題の猫練り切り 私が家族4人で営む「御菓子司紅谷三宅」は、益子焼で有名な益子町の隣町である真岡市に父が平成元年に創業したお店です。1年以上経った今でも状況が変わらないコロナ禍。当店は2011年の東日本大震災によって街の中心施設である百貨店が廃業し、街に買い物に来るお客様が減り続けている中で大きな痛手でした。

 そんな中、3年前から始めたTwitterやInstagramのSNSの投稿に注目が集まり、1年ごとにフォロワーが1万人ずつ増えています。運用したばかりの頃は他のアカウントと差別化ができず、なかなか結果が出せませんでしたが、自らが撮影した写真を毎日のように辛抱強く投稿を続けてきました。

人気の上生菓子 するとある日、可愛らしく仕上げた猫の和菓子の投稿が突然伸びだしフォロワー数が激増します。さらにペットブームに合わせて猫や犬、アザラシ、ペンギンなどの動物を和菓子特有のフォルムに落とし込むことで若年層の人気を獲得し、ネットニュースでも話題となりました。

 それに伴い、ECサイトを導入し生菓子の需要が過去最大に高まり、販売価格の引き上げに成功します。人気の商品は練切りで、多い時は月に2000~3000個ほど作っています。SNSで注目されてからは販売開始から数十分で200件分ほどの注文が入る状態が1年以上経った今でも続き、ツイッターでの活動はNHKの放送でも取り上げられ、お店に活気が戻りました。

 今回の件で、お菓子は生きていくための生活必需品ではありませんが、確実に人々の心を豊かにしてくれるものだと実感しました。変わらない伝統は美しいですが、そのなかで生き残っていけるのはわずか。受け継がれていく伝統的なお菓子に今の時代に合わせた新しい発想を取り入れ、提案できる人たちが現代では生き残っているように感じました。
 最初は花鳥風月以外の和菓子を作ることに違和感を感じていましたが、可愛らしい和菓子を見て食べて喜んでいるお客様を見ると「作ってみて良かった」と思えるようになり、常に新しい表現を探しながら作っています。今回の出来事で自分から情報をアウトプットする大切さを学ぶことができ、それに依存することなく新しい道を模索していこうとする意欲が湧きました。コロナ禍で教室等が開催できなかったりと大変なことばかりでしたが、楽しく成長を感じることができました。

 栃木県菓子工業組合芳賀支部・三宅正晃