鳥取県菓子店

2021.11.17

鳥取市の餅屋

市内4社を紹介

 子どもの誕生日や婚礼、家の新築などの祝い事のほか正月や各種節句の用いられるものに「餅」がある。日本の餅は、もち米を蒸して搗いた「搗き餅」を指す。餅の文化は、稲作と一緒に東南アジアから伝わったらしい。奈良時代の情報を記した「正倉院文書」にも餅の表記がある。古代から餅には神秘的な力が宿っていると考えられていたらしい。この餅を食べると力が付くという思いから各地に「力餅」という風習も伝わっている。今回は鳥取市内で餅を扱う4社を紹介する。

【土井製菓】(鳥取市瓦町)
 明治10(1877)年の創業以来、「餅は餅屋」を合言葉に地域の皆さんに愛されてきた。コシと粘りのある昔ながらの餅づくりを心掛け、若い人にも知ってもらえるよう努力している。昔ながらの牛皮でつくる柔らかいシンプルな餅の人気も高いが、同店が考案した自慢の冷やして食べるフルーツ大福も売れ筋だ。平成30(2018)年にカフェを併設した2号店(鳥取市立川町7丁目)では、七輪を使って自分たちで焼いて食べるメニューを考案し、味はもちろん焼いている時間を楽しんでいただいている。

【若木屋】(鳥取市川端3丁目)
 明治元(1868)年の創業の老舗。餅や赤飯のほかかき餅も扱っている。原材料の吟味はもとより、その日の気温や湿度にも細心の注意を払いながら、お客様の喜ぶ顔を思い浮かべながら製造している。餅や赤飯は新鮮さを維持するためにお客様に手渡しする当日に製造するのが特徴。かき餅は、正月の鏡餅を欠いたり砕いたりしたものを言う。京都では、古くから冬の間に餅を搗いて半乾きになったものを薄く切って陰干ししたという。当店ではプレーンや青のり、黒胡麻、柚子、生姜、よもぎなどが素材だ。

【内藤製餡所】(鳥取市行徳2丁目)
 昭和21(1946)年の創設以来、あんこ作り一筋で歩んだ老舗のあんこや。弥生時代から無病息災や魔除けを祈願する行事で使われていた料理があんこの起源。当店では、粒あん、こしあん、白あんという定番のほか、むらさき芋やかぼちゃなどを用いたバラエティーあんや、季節限定で桜あん(3~4月)、梨あん(8~9月)、柚あん(11~1月)がある朝食やおやつに餡のトッピングや、トーストにあんことバターで変化を付けてはどうだろう。餅も主要な商品で、誕生餅や供え餅などを扱っている。

【和楽】(鳥取市南栄町)
 昭和52(1977)年4月、鳥取菓子工業センターに入居するのを機に、甘納豆の邑橋ともち屋の細砂が合併した。スーパーなどへの卸専門店で、主に「おやき」「ちまき」「とち餅」などを扱っている。どれも各家庭で受け継がれてきた郷土料理の一種で懐かしい味がする。おやきは冬の代用食で、小麦粉やそば粉を水で溶いて練り、薄く伸ばした皮で野菜などの具を包む。ちまきは端午の節句の供物の一つ。もち米を植物の葉で包み灰汁(あく)で煮込んだもの。とち餅は、栃の実をもち米と一緒に蒸して搗いた餅。

 鳥取県菓子工業組合理事長・小谷治郎平