各地の菓子店探訪
山梨県菓子店の投稿

地元食材にこだわり、地元に愛される。

桃どら焼き 山梨県南アルプス市に店舗を構え、創業は1907年(明治40年)。曾祖母から数えると私で四代目。山梨県では数々のくだものが全国的にも有名で、盆地のため夏暑く冬寒い気候の中、水はけがよく日照時間が長い扇状地で品質の高いくだものが生産されています。特に桃、ぶどう、すももの生産量は日本一です。

 当店では、そんな山梨県産のくだものや農産物を使った菓子作りに取り組んでおり、フルーツの果汁だけで餡を炊いた『フルーツどら焼き』人気の商品が生み出されております。以前は、落雁をはじめとする和菓子を作っていましたが、最近ではどら焼きの種類が多くなり、ご近所では「どら焼き屋さん」の愛称で呼ばれています。

巨峰どら焼き 以前、地元放送局のラジオ出演した際に、番組パーソナリティであったお笑い芸人の方と意気投合し、放送局とお笑い芸人の方、そして私の三者で番組の中で新商品開発をすることとなりました。その時に商品化されたのが、どら焼きの皮に山梨県身延町の特産品、竹炭のパウダーを使用した「どらたろう」。このネーミングは、お笑い芸人の方の息子さんの名前をもじって付けられており、パッケージのデザインもその方が手掛けていただきました。今では当店の人気商品の一つとなっております。

 私の商品づくりのこだわりは、手作りで地元食材を商品に使う事。その中で生まれてきたどら焼きは25種類。生産量日本一にちなんで「桃どら焼き」「巨峰どら焼き」「シャインマスカットどら焼き」から始まり、地元大塚地区で生産されている長さが80~120㎝くらいあり味の濃い珍しい人参を使った「大塚人参どら焼き」。地元農家の方が生産したキウイフルーツを餡に練りこんだ「キウイどら焼き」「レインボーどら焼き」など。さらに山梨県内でも有名な柚子の里の柚子をふんだんに使った「柚子どら焼き」など様々な商品を生んできました。夏場限定で作る「ラムネどら焼き」「コーラどら焼き」は、地元の子供たちに大人気です。昨年の冬には電子レンジで温める「チンするどら焼きシリーズ」も開発しました。電子レンジで温めることにより中のチョコレートが溶け餡と絶妙なバランスになるよう考えました。更には、地元のダチョウ牧場がありダチョウの大きな卵を使った「ダチョウどら焼き」。ダチョウどら焼きを作る時の苦労はダチョウの卵を割ること。あまりの殻の堅さに手では割れずのこぎりなどを使って割っています。このような、地元の食材を使うことにより地元に愛され話題性もある商品が次々と生まれています。

 これからも、地元にこだわり地元に愛されるお店でいたいと思っております。

 山梨県菓子工業組合・菓子処松の屋・飯野順一