埼玉県菓子店

2021.08.17

小鹿野町・太田甘池堂

江戸時代から作り続ける練り羊羹

古代秩父練羊羹 埼玉県西部の奥秩父最深部に日本百名山として名高く岳人に愛される荒々しい山塊の両神山を持ち、同じく日本百名水として名高い毘沙門水が湧出する小鹿野町があります。そんな自然豊かな山深い山里で江戸時代から二百年以上練り羊羹を作り続ける太田甘池堂さんの銘菓「古代秩父練羊羹」を紹介します。十代目太田将司店主にお話を伺いました。

―創業時の話から聞かせてください。

「小鹿野町は険しい峠を抜けて秩父地方と長野県佐久を繋ぐ中仙道の裏街道宿場として江戸時代から大変栄え、秩父地方随一の商人の町として菓子店も江戸時代には早くから何店も存在していました。江戸時代の絹の道です。『古代秩父練羊羹』は遠く江戸の中期、(享和三年・1803年)当家二代目が江戸日本橋の老舗、甘林堂より製練法を伝授され店名・甘池堂を贈られて故郷に帰り製造を始め以来当主十代目の今日までひたすら羊羹を練り続けています。」―親方の店はまだ現存しているのでしょうか。

「残念ながら大昔に廃業したらしく、国会図書館まで行って調べたのですが判りませんでした。」

―銘菓練羊羹の特徴を教えてください。

「何も加えず何も省かず基本に忠実に熟練を重ねるが9代目までの教えです。現在は主原料を北海道産粒よりの隠元豆・小豆に求め糖を加え家伝製法を基に手作りによって調整し独特の風味を出しています。」

―本練羊羹として製造されているのは白餡ですね。

「大昔に親方から教わった本練羊羹は隠元豆を使った白餡羊羹でした。現在に至るまで白餡本練羊羹が店の看板商品で『本練』の名称で一番売れています。小豆餡を使った羊羹は『田舎』の名称で売っています。もう一種類『本練』に柚子を入れた柚子羊羹は『柚木』の名称で販売しています。この三種類です。今までに各種品評会で30回以上受賞していまして、第22回全国菓子大博覧会で名誉総裁賞を受賞しました。」

 最近、西武秩父駅の近所に秩父店として販売所を開店しました。観光客需要は圧倒的に秩父店ですが昔ながらのお得意さん需要は基本小鹿野町本店でどっちもどっちとの事です。

 一口サイズは税込220円、竿一本は税込980円で販売されています。お土産用に化粧箱各種取り揃えております。小鹿野町は奥秩父の緑濃い原生林と江戸時代の面影を今に残す街並みの大変美しい町です。奥秩父でも工業の秩父市とは景色が一味違います。日本屈指の名水が湧出する美しい景色の中で製造される羊羹は自然で優しい味わい。味にも景色と名水が反映されている事でしょう。

 埼玉県菓子工業組合副理事長兼専務理事・中島祥夫