栃木県菓子店

2021.05.17

うさぎや商店

無病息災 黄ぶな物語

黄ぶな 今年に入っても中々コロナが終息せずに世界的な苦境が続いています。ワクチンの接種が始まりましたが、年内にすべての国民に行き渡るのかどうかも難しそうです。

 コロナ禍において各地に伝わる疫病退散のお守りなどが注目を集めていますが、栃木県宇都宮市にも500年以上に渡り引き継がれている無病息災を願う郷土玩具がありますので伝わっている民話を含めてご紹介させていただきます。

黄ぶな物語りサブレー 昔、宇都宮で天然痘が大流行していました。

 ある日、村人の一人が宇都宮の中心部を流れる田川で釣りをしていたところ、黄色い色をした不思議な鮒(ふな)を釣上げました。

 病人がその鮒を食べたところ、病気が治ったとされ、以来張り子の黄ぶな(写真1)を作って無病息災を願う習慣が生まれました。

 今でも黄ぶなは宇都宮の郷土玩具として地元の人たちに親しまれています。

 しかし、郷土玩具と言っても時代の流れには逆らえず、30年ほど前に一人細々と作っていた方が亡くなり、後継者がいないことで途絶えそうになりましたが、別の民芸品製作をしている方が引き継がれたことで、現在では張り子のほかに土鈴や根付けなども市内の土産物店などで販売されています。

 弊社では先代の会長が、もっと市民に黄ぶなを知ってもらおうと考え、その張り子の黄ぶなを元に25年ほど前に作られたのが「黄ぶな物語りサブレー」(写真2)です。市内の土産物店で黄ぶなの最中なども作られてはいましたが、中々認知度は上がっていきませんでした。

 その後、行政も観光資源の一つとして黄ぶなに注目し始めたことで、印刷物などにもイラストが使われ、市内を走る循環バスのキャラクターに採用されたことで多くの市民が親しみを持ったものとなりました。そのような中で今回のコロナウイルス感染拡大が起きた事で一躍脚光を浴びることになりましたが、そこはPRがあまりうまくない栃木県の例に漏れず九州の某妖怪に完全に負けていますが、関東の中でもコロナの感染者が少なく、災害があまり起きないのも街中にあふれる黄ぶなのおかげと信じて、これからも後世にきちんと伝えていけるようにしたいと考えています。

 栃木県菓子工業組合宇都宮支部・株式会社うさぎや商店代表取締役・檜山昌彦