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コロナ禍における和菓子

和菓子の伝統継承へ

 新型コロナウイルス感染症が日本で確認されて1月で1年が経過しました。この1年日本の伝統と文化が一瞬にして消えてゆくのを実感しました。そこで、数名の当組合員の方に、その影響とこれからの取り組みついてお伺いしました。沢山のお話を聞かせて頂いたので、2回に分けてお伝えしたいと思います。今回は、コロナ禍での和菓子製造の問題と課題を長年和菓子に携わってこられた方々にお聞きしました。

―どんな1年でしたか―

 見習い当時、丁稚の時は寝ずに夜通しで働いたりと、和菓子を作り続けてきたが、こんなに暇で仕事がないと言うことは、あり得なかった。阪神大震災のときも大変だったが、被害は限られた地域で少し離れたところでは、普通にお菓子を販売できていたので、今回のように全国的にいや、地球規模で先が見えないということは今まで経験したことが無かった。国の補助金等で助かった面もあるが、店の規模によって効果はまちまち。それでなくても和菓子業界が全国的に斜陽気味の中で大きな痛手となった。

―どんな影響がありましたか―

 茶席に和菓子を納入していたが、なかなか再開されない。お茶の先生は高齢の方が多く、自粛期間中に人前に出ないことにより、体が動かなくなったり、密やクラスターを恐れて会場も借りにくく、再開しないところも多い。伝統文化を継承するという面においてもこの状況下では難しい。

 その他のイベントができないのも大きなネックとなった。

―これからの課題は―

 個々で新しいものに取り組みたいが、やれることは限られている。デパートなどで和菓子店を見てみたら、どこも新しいものを取り入れようとしているが、昔からのもののほうが動いているように見える。消費者のニーズをつかむのも難しい。

 社会の先行きが見えない不安な時、人々の心が殺伐としている時、甘いものでちょっとほっとしていただけるような和菓子を提供していけるように、前向きに皆で協力し、伝統を継承したい思いである。

 次回は新しい発想でコロナ禍を乗り切る組合員の方のお話をお伝えします。

 兵庫県菓子工業組合・奥山優子

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