各地の菓子店探訪
山梨県菓子店の投稿

竹屋あさかわ

地元の食材を使い『お菓子で人を幸せにする』

苺大福 竹屋あさかわは、1894年(明治27年)の創業以来 甲府市で和菓子の製造販売を営んでおります。

 このコロナ禍で経営的には、非常に苦しい状態ではありますが、15年前から取り組んでいる地元の素材を使った和菓子が少しずつ浸透し、成果を上げています。

ほうとうかりんとう その中で、売り上げを伸ばしている人気商品は、『苺大福』です。この商品は、当店が苺の産地まで15分たらずの好立地だったので、これならば毎日摘みたての苺大福を作れると思いつき、先代の社長と共同で開発した商品です。まずは良質の苺を求めて幾つもの農家を廻り品種を選定しました。その苺に合わせて毎朝搗き上げるふんわりとしたお餅を開発し、餡には、苺に負けないように小豆の風味を残しつつ糖度の高い潰し餡を選んでいます。作る数は、農家さんにお任せになります。たくさん作りたい時でも、苺農家さんには『納得した苺だけを収穫してください』と念を押しています。お客様の期待に応えたい気持ちをぐっと抑えて毎朝作っています。そのためには、少量でも搗ける餅つき機を購入しました。今となっては良い買い物だったと思っています。最近開発した人気商品は、地元の製麺所の協力で納品いただいた、山梨県を代表する郷土料理の『ほうとう』の麺を使った『ほうとうかりんとう』です。ほうとうの麺を、米油で揚げて作る自家製かりんとうの粉は地粉を使用し山梨県で採れた柚子をフリーズドライにしたものをまぶしています。

店内 その他にも、地元の白桃農家、養蜂場、鶏卵所など多くの業者様の協力で大切な和菓子の素材を分けていただいています。その大切な素材を生かすために、配合から手順までこと細かくマニュアルにして社員に渡していますが、最近では、それだけに頼らずに季節や素材の状態を見ながら、その時に合った最適な製法を考えなくてはならないと思うようになりました。

 竹屋あさかわのお客様や関係業者様にとどまらず、多くの人を『お菓子で人を幸せにする』ことができればとの願いを込めてお菓子作りをしています。

 山梨県菓子工業組合・竹屋あさかわ代表取締役社長・浅川敏彦