福岡県菓子店

2020.12.15

花月堂寿永

旬の素材への挑戦と「味を変えたらいかん」の教えを守って

イチジク羊羹 今月もとよみつ姫のシールの注文がありました。

 注文先は、組合の近くの花月堂寿永。昭和23年春吉の地に店を移して今年で76年になります。
 シールはイチジク羊羹に貼ります。福岡産のイチジク「とよみつ姫」のセミドライをリキュールで戻し、しっかりした羊羹生地に練りこんだものが好評です。上品な甘さがあり爽やかな酸味で後味さっぱり。爆発的ではないけど、コンスタントに売れていると控えめに五島さん。2018年に福岡県技能勇者表彰、2019年に九州福岡お土産グランプリ(菓子部門)を受賞。またこの季節、お客さんから今日はないの?と待ち望まれている物があります。梨羊羹です。幸水・豊水・新高など旬の梨の時期を見計らい練りこんでいくそうです。梨の食感が種類によって変わり、皆さん今度は何の梨?と楽しみされているそうです。食感・水分・見た目と見極めたものが店頭に並びます。

4代目郁太朗氏(右)と5代目慎太郎氏(左) こんなにも新しい商品を世に出す中、味を変えない商品の一つに福うめ最中があります。

 普通、最中の餡は小豆ですが、花月堂の福うめ最中は手亡餡を焚いて濾したものに、砂糖や水あめを半透明になるほど練りこみ、炊いた密漬けした金時豆をつぶさないように合わせ、独特の食感を出します。甘さ控えめがもてはやされるなか、砂糖をはじめとした各材料の割合は、製造当時から全く変えていません。福岡で甘い最中は花月堂の福うめ最中といわれるほど、食べた瞬間こっくりとした甘さが口に広がるが、食べているうちにすっと引いていく。あとに残らない引きのいい甘さは、すっきりとした後味を残し、気づいたらもう一つと手が伸びてしまいます。亡くなった2代目靖祥さんが、これ以上触りようがないくらいに作り上げた逸品です。「上質な砂糖の甘みは後を引かないんです。」と、4代目郁太朗さんはおっしゃいます。「味を変えたらいかん」この言葉を守りながら5代目を引き継ぐ慎太郎さん夫妻と一緒に、これからもずっと変わらぬ味の福うめ最中が食べられそうです。

 福岡県菓子工業組合事務局・村上豊美