千葉県菓子店

2020.11.16

御菓子司 龍泉堂

現代の名工 最後の弟子

 龍泉堂の最中と琥珀羊羹千葉県銚子市。

 過去にNHKの朝の連続テレビ小説の舞台となったことで漁業と醤油の町として知られているが、ここに一軒の和菓子店がある。

 合資会社龍泉堂。昭和29年5月創業の老舗だ。

 現在3代目の曽根田勝氏は和菓子技能検定一級を取得し千葉県和菓子技能士会に所属。また若いながらも千葉県菓子工業組合の理事に名を連ねる人物である。

 そして、現代の名工であられた御菓子司若柳の故可児融氏の下で修業を終えた最後の弟子である。

 曽根田氏は日本菓子専門学校42期卒業で、実は進学前に先代であるお父様か急逝されたとの事で、決まっていた進学を半ば諦めたそうなのだが、お母様とお姉様がお店を守っていてくれた事で進学できたそうだ。

龍泉堂・店舗外観 また、これは私の好きな話なのだが、卒業が迫ってきている時点でまだ修業先が決まらず、その時に外部講師で来られていた可児先生の授業が衝撃的で感動したそうだ。ぜひお店に買いに行きたいと思い、足を運んだ際に可児先生とお話をする事が出来て、「まだ就職が決まっていないならうちに来なさい」と言って下さったとの事。すごい話である。

 そうして修業を終えた曽根田氏は、『お客様が安心してお菓子を食べられるように』を心掛け、龍泉堂で代々続く銘菓つぼ最中、灯台最中をはじめとする製品作りにも余念がない。どら焼きに関しては開発に数年かかり粉の配分や製粉会社など試行錯誤を繰り返しようやく納得のいくものが出来たとの事。また近年では銚子ジオパークの企画で銚子特産の醤油を使い地層から採れる琥珀をイメージした琥珀羊羹も開発。地元に根差した菓子作りにも力を入れている。そのように曽根田氏の手から生み出される菓子は師匠譲りの物腰の柔らかいなんとも人間味のある美味しいお菓子だと私は思う。この記事を書いていて、以前技能士会の持寄り会に琥珀羊羹を持ってこられた際、私は家族にも食べさせたいとこっそり数本持ち帰ったのだが、帰りの車内等で結局全部一人で食べてしまったのを思い出した。

龍泉堂・店舗内観 昨今のコロナ禍で緊急事態宣言が出た4月頃は大変な時期だったそうだが、10月現在は徐々にだが回復してきているとの事だ。

 今、菓子業界に留まらず、ほとんどの業種で今までの常識が通用しなくなってきている。どこに正解があるのか、正解などないのかもしれないが、龍泉堂のように地元で愛されている菓子店が美味しい菓子を提供し続ける事で、少しでも人々に至福の時間を提供できるのではないかと思う。それが前を向く力になると期待したい。

 全菓連青年部関東甲信越ブロック長・鈴木豊