高知県菓子店

2020.09.16

銘菓創園 桂

銘菓〝蔵出し〟誕生への秘話

蔵出し 高知は全国有数の酒の消費量が多い県です。皆んなとよく酒を呑む、私自身も大好きです。酒の肴も鰹の「タタキ」をはじめ美味しい「つまみ」が沢山有る。宴会が始まるとまずビールで乾杯、ひとしきり呑んだら日本酒「地酒」に変わる。

銘菓創園 桂 外観 十数年前、中央会の中のある組合の青年部と当組合の青年会が異業種交流会をやって終れば宴会が始まる…時のこと。その酒席でのある人との会話の中で、「自分は甘い物はあまり食べない、菓子を食べるのは女性や子供ではないか」と言い、「それでは年に一度も食べないか?」と聞くと「会社の事務所にあれば一個や二個は食べることがある」と言う。まったく食べない訳ではない、機会があれば食べるようだ。そしたらもっと酒好きな男に進んで食べてもらえる菓子を作れば売れるかも…と早速試作に取りかかった。

銘菓創園 桂 内観 今までもあるような酒まんじゅうや酒、酒粕を使った菓子では面白くない。洋菓子のブランデーケーキのように日本酒を浸してはどうかと思い作ってみたが、なかなか上手くいかない。生地が柔らかく目が粗いと酒が下に抜け、べとべとになる。また、堅く目が詰まっていると中まで酒がしみ込まない。試行錯誤の末、やっと全体に均等に酒がしみ渡る生地が出来た。次は酒選びである。以前から知人だった蔵元の人に相談し、色々と話を聞き試飲をしながら決めたが、味も良くないといけないが重要なのは香り。「坂本龍馬」の関係がある銘柄の吟醸酒に決め、一応まずまずの菓子が出来たので、早速皆んなに試食してもらった。味は良いが、これでは「ブランデーケーキ」の日本酒版で新鮮味がない。当店は、和菓子専門店だからもっと和菓子らしい菓子に仕上げたらどうか?との意見があり、これもまた試行錯誤した。結果的に、小豆餡をサンドしてみたらこれがなかなかマッチしている。

 それから約六カ月。配合の微調整、パッケージ作りで完成した。発案から一年六カ月かかっていた。

 発売以来十数年。今日当社の代表的な銘菓になっています。

 高知県菓子工業組合理事長・刈谷喜明