石川県レポート

2020.08.19

金沢夏の風物詩『氷室饅頭』で

感謝と無病息災を祈る

氷室饅頭を医療機関へ寄贈(2020年6月26日) 金沢の和菓子は江戸時代から続く風習、伝統行事、祝いなど、それぞれの四季を通して人生の節目と日常の生活に深く関わってきました。

 安産の願いを込めた「ころころ団子」、加賀藩前田家の家紋の梅をかたどった正月菓子「福梅」、そして、お鏡餅は下に白餅、上に紅餅を重ねた「紅白鏡餅」を飾るのが金沢流、金沢に赴任された転勤族の方からも不思議がられたとのエピソードもあります。また、金沢では婚礼など祝いの場に欠かせない縁起菓子として、金沢独自の「五色生菓子」が今も菓子職人達の手によって継承されています。

 そして、6月20日頃より7月1日までの間、一斉に販売される夏の風物詩「氷室饅頭」があります。白・桃・緑の三色で、餡だけでなく生地にそれぞれのお店の特徴があり、石川県に住まいの方々、石川県にゆかりの方は必ず食したことのあるお饅頭です。

氷室饅頭を医療機関へ寄贈(2020年6月26日) この物語は、五代藩主綱紀公の頃、氷室に貯蔵した天然の氷雪を6月朔日(現在の7月1日)江戸将軍家に献上、氷をかじり、無病を祈る儀礼が行なわれました。この氷を食べる習慣を麦饅頭に代えて作られたものが氷室饅頭として売り出され、市民は無病息災を祈って食べたのが始まりとされ、現在は観光含めて業界の一大イベントとなっています。

 今回この氷室開きを迎えるにあたり、6月26日に金沢支部有志メンバーの方々より数多くの氷室饅頭の提供を受け、本組合の髙木理事長と浦田金沢支部長の両名が代表して、新型コロナウイルスの感染症対策と対応に、昼夜を問わず尽力されている市内の保健所や医療機関を訪れ、関係者の労をねぎらい、感謝の気持ちを込めて「氷室饅頭」をお届けさせていただきました。

 なお、県菓子組合青年部においても、それぞれ味自慢の和菓子を詰め合わせ、県内の病院を訪問、医療従事者にひとときの癒やしを届ける活動も行なっております。その外、個々のお店も地元の市民病院や福祉施設、医療センターを訪ねて感謝の気持ちとして和菓子を届けるなど、組合員一同微力ながら医療機関を応援させていただきました。

(参考)氷室小屋(湯涌温泉地区)近年は温暖化の影響により、雪不足が続いており氷室小屋への雪詰め作業が心配されています。 最後に、この新型ウイルスとの闘いは今なお続いている状況ですが、明るい話題として首都圏からの修学旅行先として再び金沢が人気を集めていることや、また石川の海の玄関口である金沢港の開港50周年を記念して整備を進めてきた「金沢クルーズターミナル」が6月1日に開港、次いで秋に開館予定の「国立工芸館」の名誉館長に元サッカー日本代表の中田英寿氏を迎え開館の準備が進められています。とにかく一日も早く日常生活に戻り、菓子業界含め社会全体が元気になることを願っています。

(参考)氷室とは、筵や菰などで覆った茅葺きの中で氷を貯蔵する小屋のこと。近年温暖化による雪不足のため、氷室小屋に雪詰めができない年もあります。

 石川県菓子工業組合事務局・薮猶八