神奈川県菓子店

2020.07.16

菓子司 杵若

西湘の地に根付く老舗

杵若 連日、真夏の様な暑さが続く梅雨入り前の6月上旬に平塚にある菓子司「杵若」を訪ねました。平塚と言えば、七夕まつりが全国的に有名な地なので、想像力を働かせていたのですが、今年は新型コロナウイルスの影響で、全面的に夏まつりが中止になり自粛解除宣言が出された今でも町が閑散とした印象が残りました。そして東海道五十三次では平塚宿のあった地域で東西に真直ぐに伸びた町屋が続く宿場で「範隆寺平塚」と「黒部宮平塚」と記されてありました。

杵若のお菓子 杵若さんのお店は「黒部宮平塚」付近にあたると思われます。杵若さんに向かう閑静な住宅街の中程に黒松に囲まれた場所がある。明治時代後期に無明院大拙が月湘という信仰家を記念して建てた様で今では貴重な文化財となっている「月湘庵」という尼寺である。曳き屋で向きは変わりましたが建物自体は当時のままらしく、小説家の中勘助の著作「しづかな流」は平塚海岸の情景を書いた書で此処に残されている。

杵若 杵若さんでは、地元にちなんだ和菓子が多く、月湘庵を称した「九里庵月湘」や日本初の大磯海水浴場開設に伴い地元著名人の賞賛から生まれた「不老」などの和菓子は初代から受け継がれている代表銘菓であります。年間を通して地元農家さんのご協力で苺や枝豆や薩摩芋、落花生や蜜柑など新鮮な作物を使った四季の和菓子。栗より美味しい栗まさりと言う薩摩芋を使用した「ほっくり」と苺大福。横田園芸さんが有機農法で栽培している食用薔薇を使用した「湘南ばら羊羹」、Jリーグサッカーのベルマーレ平塚設立を記念して出来た「マーレ」、そして平塚に住みお菓子文化を広めた村井弦斎氏が落花生を育てていたのを和菓子に考案して落花生の薄皮ごと丹念に煉り上げた「弦斎羊羹」など数々の素敵な和菓子を守ってください。地元を愛し、著名人を愛して、益々のご発展をお祈り申し上げます。

 神奈川県菓子工業組合広報部・亀岡肇