各地の菓子店探訪
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「万寿屋」店舗オープン

家族の力で新しいスタート

上田尚次氏 新型コロナウィルスで菓子業界が激変しています。進物需要の縮小、土産菓子の販売機会の減少は皆様感じておられることでしょう。

 そのような状況の中、2001年にスーパー向けの卸菓子製造を中心に創業した万寿屋(代表上田尚次氏)はこの3月、ワッフルなど家庭のおやつを中心に販売する店舗を工場横の隣接地にオープンしました。地場の有力スーパーで扱う万寿屋のお菓子は誰でも食べたことのある地元でなじみ深いものです。

 もちろん計画当時は外出自粛が続くことなど予想になく、代表菓子のひとつである落雁や砂糖の盆菓子の製造を担っていた父親の引退にあたり、同じように製造することが難しいため、直接販売は売上獲得の手段でもあったそうです。開業費を極力抑えるため、友人の大工さんと一緒に作り上げた店は青を基調に親しみやすい外観です。助けてくれる友人の多さは上田さんのお人柄によるもの。3月は3人の子供たちも春休み。家族総出でオープンからゴールデンウイークの繁忙期を乗り切りました。

 新店舗のメイン菓子は上田さんの大好きなジャンルのワッフル。もちもちの生地にフレッシュなクリーム、挟むのは定番で自信のあるあんこの他、季節のフルーツです。そのほか生ういろうや生菓子など低価格な出来立てのお菓子が並びます。飽きられないよう定番のワッフルに季節感をアレンジすることで来店頻度の向上に努めています。

 駐車場が狭いことを心配していましたが、思ったより徒歩での来店が多かったとのこと。宇部市の中心部にありマンションが多く、徒歩圏内の人口は市内随一であることと商品に値ごろ感があるからこそ、近所の方が足を運んでくれたのでしょう。

 さて、お子様は3人で18歳と17歳と15歳。創業の年に生まれた長女は18歳。ロゴマークとして使用している看板のデザインは彼女によるものです。またユニフォームの素材にデニム生地を入れることも提案してくれました。他にも店での接客はもちろんのこと、スマホを活用した情報発信、店内ポスターのデザインやPOPの作成など積極的に関わってくれるため、大変心強い存在となっています。下2人の男の子は口数が少ないながらも、あらゆる面で頼りになります。

 このように助けてくれる家族がいるのもチャレンジした理由のひとつ。店舗を構えることで生活は変わりましたが、妻と子供の家族5人で団結力を生かし、全力で臨んでいます。この一体感が一番よかったことだと上田さんは話します。子供たちだけでなく、製造と販売も兼ねてより忙しくお客様中心の生活になってしまった奥様への感謝と労いも忘れません。オープン直後の慌ただしさを乗り越えた家族で旅行でも、と思っていますが、店は休めるのかそれが心配だそうです。

 山口県菓子工業組合専務理事・恒松恵子

店舗データ

万寿屋万寿屋
山口県宇部市若松町4-19
TEL…0836-34-2223

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