各地の菓子店探訪
福島県菓子店の投稿

福島市出身の作曲家 古関裕而に因んで

福々和本舗・外観 福島市の真ん中にぽっかり浮かんでいるような福島市のシンボル信夫山は、福島盆地の中央に位置する周囲約7㎞の四季折々に美しい山です。昔から山岳信仰の地として知られ、各山頂には信仰対象の神仏が祀(まつ)られています。

福々和本舗・店内 この山の麓に生涯5000曲以上作曲したと言われる、福島市出身の作曲家・福島市名誉市民・故古関裕而先生の記念館があります。ほとんどの日本人なら一度は聴き口にしたことがある曲がたくさんあります。例えば映画モスラの歌、早稲田大学第一応援歌「紺碧の空」、慶應義塾大学応援歌「我ぞ覇者」、全国高等学校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」、阪神タイガースの球団歌「大阪(阪神)タイガースの歌(六甲おろし)」、読売ジャイアンツの球団歌「巨人軍の歌(闘魂こめて)」、中日ドラゴンズの初代球団歌「ドラゴンズの歌(青雲たかく)」、東京五輪の「オリンピック・マーチ」、NHKスポーツ中継テーマ「スポーツショー行進曲」など、実に数多くの曲を作曲しています。また、今年のNHK連続テレビ小説『エール』のモデルにもなり全国から注目されています。この記念館から程近い、国道4号線沿いに今回お伺いした、今年で創業65年を迎える株式会社福々和本舗(代表取締役佐久間功氏)があります。

福島夜曲 少々言いにくい「福々和本舗」という名前は、初めの「福」は、福の神の「福」。2番目の「福」は、幸せの「福」。「和」は一家団らんを意図し、福々で一家団らんの和を作れば、皆様がにこやかになれるのではないかという想いからの「福々和」と名付けたそうです。北限の信夫山のゆずを使ったゆず饅頭【現在は残念ながら原発事故の影響で出荷制限により使用できなくなっています。地球温暖化の影響なのか北限は宮城県柴田町になってしまい現在はそれを使用】主力商品の福々和饅頭、信夫山通り、福々秀など多くの製品を製造・販売しています。特に今年注目が集まっている製品に「福島夜曲」(ふくしませれなあで)があります。昭和5年に、竹久夢二展が福島で開催された時に古関裕而先生が作曲した名曲「福島夜曲」という曲をモチーフに、果物王国福島ならではのリンゴをサンドしたお菓子で、記念館のそばに位置する御縁、古関裕而が佐久間社長の高校の先輩に当たることなどの御縁を感じ14年前から製造販売を始め現在も主力商品の一つです。地域の特色や文化・歴史・物語をお菓子に生かせないかということを常に考え商品開発していることが、ありがちな一過性の商品でない長く愛されるお菓子を生み出す要因と語っていました。新型コロナウイルスの影響やその影響で本来7月に福島市で開催予定だった東京オリンピックの野球・ソフトボールの予選が延期になり意気消沈している福島市民をはじめ多くの人にお菓子を通してエールを送りたいとのことでした。

 福島県菓子工業組合副理事長・菅野嘉春