佐賀県菓子店

2020.03.17

竹下製菓

九州から伝統と革新を届ける

ブラックモンブラン 読者の方で、「ブラックモンブラン」という名前のアイスクリームをご存じの方はどれだけいらっしゃるでしょうか。全国的には無名のアイスですが、九州を中心に販売を続け、おかげさまで昨年50周年を迎えることができました。
 バニラアイスにチョコレートをコーティングして、クッキークランチを纏い、食べた時のハーモニーが美味しい、昔ながらのバータイプのアイスです。アイスを食べた後、手元に残る棒には当たりくじが焼印されていて、食べた後まで楽しめるのも特徴です。

 「ブラックモンブラン」は竹下製菓の3代目社長であった竹下小太郎が生み出したアイスで、50年以上前にフランスのシャモニーを訪れ、モンブラン山を臨んだ時に「あの真っ白な雪山にチョコレートをかけて食べたらさぞ美味しいだろう」と感じたその感動を、佐賀に戻って商品化したものです。南アルプスの最高峰であるモンブラン山のように、アイス界の最高峰のアイスを目指そう、という思いも込められています。

 竹下製菓自体は元々菓子の製造販売を行っている会社で、アイスクリームの製造販売を始めたのは今から60年ほど前の事です。夏になると菓子が売れない、いわゆる「夏枯れ」対策のためで、初めて作った商品は「あずきのアイスバー」だったそうです。菓子の製造でノウハウを持っていた「餡子と小豆」を活かした商品でした。

 「ブラックモンブラン」のヒットによって、竹下製菓はアイスクリームメーカーとして認知されるようになりましたが、今でも変わらず「マシュマロ」や「フローレット」、「やどり木」という短冊切りした羊羹製品等を製造販売しています。

フローレット 「フローレット」というのは、砂糖や水飴を煮詰め、卵白やゼラチンと合わせて撹拌することで起泡性を持たせ、スターチの型に流し、乾燥させた菓子の事を言います。花びらの形(バナナ形という話も)に淡い色味とサクッと軽い食感が特徴です。一部の地域ではお供え物としてもよく使われています。いつ、どのようにして生まれたのかの詳細な記録は残っていませんが、少なくとも竹下製菓では明治時代より「ミキスト」という名称で製造をしておりました。昭和24年頃には既に現在の様な商品スタイルだったようです。
 古フランス語の「フローレット(florete)」は小花の花弁を意味することから花びら型をモチーフとして作られたという説もありますし、バナナが高級品だった時代にバナナに似せた菓子として考案されたという説もあります。森永製菓創業者の森永太一郎さんが、海外で学んだお菓子の一つとして明治30年代に日本で広められたものだそうです。竹下製菓のフローレット製造に関しても、森永太一郎さんと親交を深める中で技術指導を受けたとのことです。

ミキスト 「フローレット」の製造は非常に手間が掛かるため、現在まとまった量の製造を日本で行っているのは弊社だけとなってしまいました。一部のお菓子店で手作りされている所があるとは聞いておりますが、弊社が製造を止めると明治時代から続く「フローレット」の日常の中にある菓子としての歴史が途絶えてしまうので、厳しい中でもなんとか製造販売を続けています。このままでは消えてしまう菓子である危機感から、後世に残すべく、「フローレット」の「かわいい見た目」に注目し、若い女性に手に取ってもらえるようなパッケージに変え、九州の素材を活かした味を加えてリニューアルした「はなあめ」「たねあめ」という商品を開発しました。竹下製菓の直営店舗である福岡天神の岩田屋本店地下2Fにある「SHIGETSUDO by Takeshita Seika」でのみ販売をしておりますので、良ければこの取組みをご覧になって頂けると幸いです。

 アイスだけでも、菓子だけでもなく、この両輪で高めあいながら、伝統と革新とを以て、美味しく楽しいスイーツを今後も皆さまにお届けできるように尽力したいと思っておりますので、今後の竹下製菓にもご期待下さい。ご高覧頂きまして誠に有難うございました。

 竹下製菓株式会社代表取締役社長・竹下真由