各地の菓子店探訪
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本庄市 笹屋製菓舗

養蚕業の宿場町の銘菓「まゆ玉」

まゆ玉 「交易の道」というと多くの方が思い浮かべるのはシルクロードでしょう。シルクロードの終着駅である我が国の街道・中仙道のかつて宿場町であった本庄市笹屋製菓舗の銘菓「まゆ玉」を紹介します。

 中仙道最大の宿場町であった本庄宿。富岡桐生伊勢崎前橋と上州(群馬県)絹製品の集積地であり養蚕が盛んな武州(埼玉県)の寄居や秩父地方を抱えた上武シルクロードの養蚕業の中心でもありました。昭和中盤まで富岡工場が世界遺産となった片倉工業ら多くの製糸工場が軒を連ねていました。信州方面からも陸路中仙道で本庄宿に物品を集積して帆船の大型船舶が遡上出来るここ本庄宿から利根川の河川舟運利用が江戸時代から明治初期までの物流網です。

 笹屋製菓舗の創業は明治八年です。江戸時代の先祖は水運の手配の仕事をしながら兼業で桑畑農園をやっておりました。桑は絹を造る蚕の餌になるものです。鉄道の登場によって水運から陸上輸送に物流が変わるなかで製菓店を開業しましたが桑畑農園は昭和初期まで兼業で営み養蚕業の衰退に至るまで絹産業に携わってまいりました。先祖代々でありました養蚕へのプライドとこだわりは強く残っています。笹屋製菓舗の代表銘菓に「くわつみ饅頭」があります。銘菓「まゆ玉」は昭和40年頃の発売の乳菓です。発売以来50年経過すると他の新発売品が有ったりと売り上げがそれ程でもない時期がありましたが養蚕業への強いこだわり故に発売し続けてまいりました。事情が変わったのが片倉工業の富岡製糸場が世界遺産登録されてです。欧州の産業革命はイギリス毛織物工業からで日本の産業革命は製糸からと言うのが認識され、地元の人たちに元々中仙道随一の養蚕業の町のプライドが再び芽生えてきた感じです。銘菓「まゆ玉」は従来焼きチーズを併せたりホワイトチョコ掛けしたりとどちらかというと変則型焼き菓子でしたが名称そのまま思い切って中身を変更しました。あくまでシンプルな乳菓とし値段を抑えリフレッシュ新発売としました。やはりシンプルな菓子は売れやすい事もあり最近良く売れ始めました。売値が上がる焼きチーズやホワイトチョコのバリエーションも時期と値段を考えて追々再投入の予定です。銘菓「まゆ玉」は一個税込110円です。

 埼玉県菓子工業組合副理事長兼専務理事・中島祥夫

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